オイルマネーに陰り
日経CNBCの放送では、中東オイルマネーは、米国の株式投資をはじめ、海外での不動産投資に対してひと頃のような積極性が薄れたようだ。湾岸産油国の悲願は、原油がいつの日にか枯渇したときにそれに代わる国内産業を育成しておくことだが、そのための国内産業の育成や公共投資に海外に向けていた投資資金を国内回帰した。
現在、湾岸産油国は国内で総額2兆ドルを超える巨額の開発事業を進めているが、金融危機の影がこれらのプロジェクトにも忍び寄っている。これまで域内外の民間資金を集めるビジネスモデルで巨額の公共投資などを推進してきた。世界的金融危機による流動性不足で金融機関が慎重になり、当初の想定どおりに資金が集まらないらしい。例えば、仏エネルギー大手のGDFスエズとUAEのアブダビ政府が同国南西部に建設予定の発電造水設備向けの融資組成が難航。またサウジアラビア政府が英豪資源大手のリオ・ティントと計画するアルミニューム生産事業も遅れる可能性が高い。
湾岸諸国の冨の源泉というべき原油相場は、7月に1バレル150ドル付近まで高騰したが、現在は半分以下の水準だ。それでも2005年、2006年頃の相場水準はまだキープしており、原油の採掘コストから見ると十分に利益が保てる水準である。中東オイルマネーの陰りは原油価格の下落というより、世界的な金融危機の影響なのだ。特に高さ1000m超の超高層ビル建設などの急速な都市開発を推進しているドバイでは、各種プロジェクトの資金調達難が今後の事業遂行への懸念材料になっている。「ロイター通信によるとドバイ政府系の港湾統括組織、ポート・アンド・フリーゾーン・ワールドは12億5千万ドルを予定していた借入を10億ドルに減額。ドバイ国際金融センター(DIFC)系の投資機関は、英バークレイズ銀行が融資参加を取りやめたため15億ドルの調達の見通しが立たなくなっている(日経08.10.16)。」
原油高で潤沢な資金を持つ湾岸諸国とはいえ、自前の資金で事業をするには開発規模が大きすぎるのだろう。イスラム金融独自の資金調達であるイスラム式債券スクークも発行条件が悪化し上乗せスプレッドも上昇した。気になるのは湾岸各国の経済環境の減速の兆しだ。ラマダン後の10月6日中東の株式相場は軒並み暴落した。アラブ首長国連邦(UAE)では、1月に6320まで上昇していたドバイ証券取引所の株価指数が10月には3000を割り込んだ(日経2008.11.2)。
中東の減速の兆しが一過性のものか、昨年末に米巨大金融機関に資金救済したときのようなオイルマネーの威光が健在なのか、それとも世界規模の金融危機の大きなうねりのなかに巻き込まれてしまうのか、注視したい。
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