木造4階建ビルも可能!耐火集成材
建築基準法では、一般的な木材を構造部である柱や梁に使うのは、防火地域で2階、準防火地域で3階までになっており、それ以上は規模に応じた耐火性能を要求している。その関係でなかなか4階建の木造建築にはお目にかかれない。4階建なら瞬時に木造以外のSとかRC造と思ってしまうのだが、木造4階建ビルがすでに建っており、木造4階建てを可能にする耐火集成材の開発が進んでいるから不動産関係者は注意しなければならない。
日経産業新聞(08.12.19)によると大手ゼネコンの大林組と竹中工務店が共同で開発した耐火集成材は、1時間耐火性能を確保しており、防火地域でも4階建てまで建てることができる。08年2月までに1時間耐火構造として使える国土交通大臣認定を取得しているので木造4階建てのオフィスや商業施設がこれから出現することになる。筆者がWEBで調べたところ、すでに木質ハイブリッド集成材の構造技術が開発されており、防火地域での4階建ての建築は可能になり、現実に竣工している。
細田木材工業のホームページによると木質ハイブリッド集成材の第1号モデルがJR金沢駅前の「金沢エムビル」で05年9月1日に竣工している。さらに第2号が3年後に名古屋でエムビルが完成。第1号にくらべて約9倍強で規模は、日本最大の木質ハイブリッド構造のビルである。木質ハイブリッド工法は、構造用集成材と鋼材の複合体である。この場合はH形鋼を使用している。火災時に鋼材の加熱を集成材が受けて逃がすことにより燃え止まる現象を実用化したものだ。問題はコスト、3年前の金沢の第一号ビル時代は、RC造の約2倍の建設コストであったが、鋼材の値上がりにより、このビルのコストは、RC造りの約3割増で建設出来たとしている。
日経産業新聞が紹介した大林組と竹中工務店が共同で開発した耐火集成材は、「荷重支持部」、「燃え止まり層」、仕上げとなる「燃え代層」の3層からなる。火災を鎮火するやり方だが、火災時、「燃え代層」が炭になって炎を遮り、「燃え止まり層」が燃焼部の熱を吸収して鎮火する。日常の火災のとき思い起こすと、火災時に水をかけ、水の蒸発で熱を奪い火を消すが、このような水の役目を「燃え止まり層」が果たす。熱容量の大きな材を燃焼面に密着させた燃え止まり層が、熱を吸収し鎮火するという訳だ。価格は一般的な集成材の2倍程度になるらしい。先のハイブリッド集成材ともども、環境に優しいエコ建築が求められる時代趨勢や近年の鋼材価格の高騰から木造ビルの建築も課題のコストダウンが進むとと今後、注目されるのではないだろうか。
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