登記上1筆の土地の一部を分筆なしに売買等した場合有効か
A氏は土地地番100番(地積200坪)の上に自宅を建て、その土地のうち100坪を青空貸駐車場としていた。隣地のBさんが、駐車場部分を欲しがったので分筆せず売った。この売買の効力は有効なのだろうか。
このようなケースの場合、裁判所の判例は、当初は有効性に否定的であった。つまり「分筆前の土地部分はその土地の一部に過ぎず、独立した1個のものでないから、これに所有権を取得することはできない。」あるいは「土地所有者が1筆の土地を分割して数筆とするには公認されることが必要で、単に自分で区分したり、また他人と合意のうえ区分しただけでは独立した土地として別個の所有権の目的にならない。」と言う見解であった。
しかし連合部判決によりこれを変更し「所有者は1筆の土地を区画し、あるいは標識を設けること等により任意に数個の土地に分割した上、そのそれぞれを譲渡の目的とすることができ、数個に分割するには土地台帳への登録その他により公認される必要はない」とした。
1筆の土地の一部を分割して、その分筆登記未了のままこれを売買の目的とすることができるとする大審院の見解はその後最高裁も踏襲している。
ただし1筆の土地の一部を分割して、「その権利を取得したものがこれを第三者に対抗するためには、登記法の定めるところに従い分筆登記したうえその処分の登記をすることを要する」と当然のことながらしている。つまり取引によりもたらされる物権変動は対抗要件を備えないと完全なものにならないということである。
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