JAVA搭載次世代携帯電話
携帯電話の動向から目が離せない年になりそうだ。ネット上でのデータ通信に適したプログラム言語「Java」を搭載した機種が年明け登場し、さらに5月いよいよ次世代携帯電話が登場する。
■「Java」搭載機種
JAVAは、ネットワークで広範に使用されている言語で、OS、CPUなどに依存しないマルチプラットホームの自由度の高い言語である。携帯電話にJavaの実行環境が組込まれると、コンテンツの表現力が増し、アップグレード・機能追加など製品出荷後のアプリケーション書き換えコンテンツなどのサービスの提供、その他高度なネットワーク機能を用いた付加価値の導入、タッチパネル等の高機能なGUIに対応し、従来では実現不可能なコンテンツの提供が可能になる。
具体的には、この搭載でネットワークからソフトをダウンロードし携帯で起動し、ネット上の情報をリアルタイムに利用可能となる。これまではホームページ上で文章と静止画しか見ることができなかったが動画を見られるようになる。
またパソコンの機能を併せ持てる。例えば「エージェント」とよばれるプログラム機能は、利用者の意図を判断してネット上で自律的に動き、一定時間ごとに情報を収集したりする。またゲームなどのJavaプログラムをネットから取り込んで端末のメモリーに保存し、利用したいときにネットに接続することなく端末だけでプログラムを動かせたりする。
「通信システム開発のドワンゴは、50万人が同時に参加できるゲームを提供する。複数の利用者が、ネットを通じて自分の選んだキャラクター同士をリアルタイムで対戦させることができる。バンダイネットワークスも待ち受け画面配信サービスの進化版として「からくりキャラっぱ!」を始める。画面に取り込んだキャラクターが設定した時間に自動的に動いて時刻を教えてくれる(日経産業新聞)」。
ドコモの新型機種503iシリーズから暗号技術「SSL」を実装する。端末に取り込んだJavaプログラムに暗証番号を入力し、サーバー側に送信すれば所有者本人と判断する個人認証が可能になり安全性が強化され、個人のクレジットカード番号や企業の重要な取引情報を携帯電話でやり取りし易い環境になる。
■次世代携帯電話
01年5月を予定に海外使用可能な通信方式「IMT2000」が登場する。NTTドコモはW-CDMA方式を採用。この次世代携帯電話の伝送速度は、自動車移動中で144kbps、歩行中で384kbpsで現在の携帯の15~40倍、将来的には現行200倍以上の2Mbpsの伝送速度を持つ。動画の伝送も可能となる。
今の携帯電話と次世代携帯電話との大きな違いは、データ通信機能の強化と言える。今の携帯電話は音声機能主体なため、iモードなどを使う時のデータ通信速度が9.6Kbpsしかない。次世代携帯電話では、通信速度が最大384KbpsになるためMPEG4形式の動画や音楽などの再生、テレビ電話、ノートパソコンに繋いで高速インターネット接続と多様な機能を持つようになる。次世代携帯電話の革新性は、マルチメディアやインターネットといったデータ通信機能の強化にある。「IMT2000」では「SIMカード」といわれるICカードの導入が内定している。SIMカードはICカードの一種でSIMカードスロットを備えたカードならカードを差し替えるだけで簡単に機種交換を行える。将来的には電子商取引の決済での利用も検討されている。
モバイラーにとって必須ツールであるが、データ通信料金や操作性により本格的に普及するのは02年以降になると予測されている。
■その他の最新携帯電話サービス
人工知能を応用したiモード向け人工知能プログラムをイナゴが開発した。画面上に表示されるキャラクターに「福岡でロシア料理の店は」と入力すると人工知能がデータベースにアクセスして「5軒です」と返事をし、ロシア料理サイトへのリンクを表示するなどキャラクターと会話し情報を絞り込んだり検索ができるシステムである。
また01年は「地域」、「時間帯」を特定し、特定ユーザーにフォーカスした携帯電話のサービスが始まる。「日経netBRAIN」によると、
「地域」限定の情報発信としてJフォンが01年10月に開始する「J-スカイステーション」がある。最小半径200~300メートルのエリア内の携帯ユーザーだけ狙って携帯メールを発信、地域限定の広告配信やイベント会場、特定のビルをターゲットとした情報配信や「掲示板」の設定に利用される。
トヨタ自動車とau(KDDI)が01年に始める新情報サービスは、クルマと携帯電話単体にナビゲーションシステムを利用。auは01年夏以降に投入する端末には全てGPS機能を搭載する予定。自分の位置を携帯画面で表示し、トヨタのカーナビ「モネ」を連動させ車内、歩行中も利用できるサービスを提供する。
ニュークリアスはサーバーを落とすことなく、30分以内に20万人にメールを送れるシステムを完成させた。大手人材派遣会社ではニュークリアスのシステムを利用して01年から派遣登録者の管理を全て携帯電話のメールで対応する予定だ。派遣会社は、クライアントの要望に合う人材をデータベースから選んで、その携帯アドレスへ募集のメールを一斉同報。登録者がそのメールに返信するなどして応募する、というシステムを導入する予定だ。
DDIポケットの「H”」の動向も目を離せない。01年5月に128kbpsのデータ通信サービスを提供する。基地局の整備で使い勝手は携帯電話に劣らない。
01年は移動体通信にとって記念すべき年となるだろう。
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