中古マンション瑕疵担保責任の肩代わりサービス
中古マンション売却時の売買契約書には、「売り主は、物件引渡し後、2ヶ月間は瑕疵担保責任を負う」といった約定をするのがマンション流通の慣習で、売却した物件に水漏れなどの瑕疵があれば、売り主が修繕費を全額負担する義務が発生するケースが多い。中古マンションの円滑な流通には、修繕履歴などが整備されていることが必要だが、現状では、これらのデータ整備が不十分なので、適正な売買価格の値付けができず、買主は、売主が瑕疵担保責任を負うとしても購入時に不安がある。
このような中古マンション流通の当事者の不安を解消し、円滑な取引を促進するシステムが登場した。当該中古マンションを販売したマンションデベロッパーによる購入者の売却時を想定した瑕疵担保責任の肩代わりである。日経産業紙(08.07.08)によると、マンション分譲の康和地所は、自社物件の購入者を対象に、マンション売却時に負う瑕疵担保責任を肩代わりするサービスを始めた。瑕疵担保の責任期間も業界の慣習となってきたこれまでの2ヶ月から3ヶ月に延長した。 こうしたサービスは業界でも珍しく、購入したマンションを売却しやすくすることで新規物件の販売を側面支援する。
具体的な仕組みは、康和地所と子会社で主に仲介業務を行う康和ハウジングが康和地所の「リリーベルマンション」の全物件の入居者を対象に「リリーベルマンション保証システム」サービスを開始。同システムは、「リリーベルマンション」の所有者が物件を売却する際、通常売主に課せられる2ヶ月間の瑕疵担保責任を同社が肩代わりし、さらに1ヶ月延長した3ヶ月間にわたり同社が保証を行なうものである。「リリーベルマンション保証システム」を利用すると、マンション供給会社である康和地所グループによる販売時の豊富な情報と、新たな専有部分検査により確かな評価が与えられ、また購入者にはその価値を正確に伝えることが可能となり、売主・買主双方に安心を提供できる。また今年11月からスタート予定の同社独自のマンションカルテ・コミュニティサイト「Karco(カルコ)」との連動により、保守・修繕履歴を含めた住宅履歴を確認できるようにもなり、より充実した安心を提供する。同システムを利用するには、同社子会社の康和ハウジング(株)との専任媒介契約の締結と、同社による専有部分の検査が必要となる。
康和地所は、マンションの躯体が外気に直接触れないようにコンクリートの周囲を断熱材で包む「外断熱マンション」を販売しており、2007年に発売した111戸はほぼ完売した。2008年は、前年の約2.5倍の276戸を発売する計画だが、購入者の転売環境をこのようなサービスを導入することで整備し、自社のブランド力の強化や値崩れを防ぐ。
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