SPC法、投信法の改正の不動産市場への影響
旧SPC法、旧投信法が5月23日国会で改正され12月1日までの間に、政令で定めたられた日から施行される。今回の改正の主要な点は従来の資産流動化スキームである旧SPC法に「特定目的信託制度」等を導入し資産流動化の促進が図られ、また旧投信法の運用対象資産を不動産を含めた一般財産権に拡充した。法制度の内容や新制度の具体像はこのコラムに書ききれるものではないので不動産市場への影響について若干触れる。
- 実物不動産の購入については、不動産登記時の登録免許税、取得税を免れるため、また投資法人がない現時点ではつなぎピークルを買いそれをまた転売するプロセスを考慮したときいったん信託設定し受益権の形で購入する事例が多いと思われる。丸紅株式会社では当初は有限会社を国内に設立し匿名組合形式で投資家を集め、主に信託受益権化した不動産に投資し、その後の政省令の改正を待って不動産投資信託に改組し、最終的には1,000億円程度の規模を目指すとしている
- 対象となる不動産はオフィスビルだけでなく、集合住宅やショッピングセンターのような商業ビル、通信設備を高付加価値化したデータセンタービル等も対象となる
- 流動性のある不動産投資市場創生のためには、質・量ともに優れたファンドが複数、早期に組成されることが重要であり、不動産の流動化が急激に進むことは、広範な機関投資家、個人投資家からの投資を促し、不動産市場が循環型のマーケットに転換していく契機となる
- 不動産ファンドの組成等、不動産の証券化の拡大は、プロパティマネジメント等の事業機会の獲得につながり、ノンアセットビジネスの伸長を促す。また、新しい市場を通じて不動産へ資金流入が進むことで、不動産開発においても、そのビジネスモデルが大きく変わる可能性がある
- 運用不動産につきITによる高付加価値化、管理運営の効率化、低コスト化などが進行する
- ポートフォリオ分散の観点から地域、用途、規模等を複数モデルに戦略的に組み合わせることが予測される
- 運用成績を判断する基準となるベンチマークは現在有効な指数等がないため、今後、投資不動産取引のデータ蓄積等で自然に形成されていくと思われる
- 定期借家制度の利用による賃料安定などの事例が増加すると思われる
- 投資用不動産の市場形成の規範、指標となっていくと思われる
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