不動産活用と相続税の要点
1、生前贈与の活用
現金預金に余裕があれば年間基礎控除額60万円の連年贈与をする。(※毎年同額ずつの贈与は、初年に毎年同額ずつの贈与を受ける権利(有期定期金の権利)を贈与したものとして 贈与税が課税される可能性が考えられる。60万円を10年間贈与したとしたら、有期定期金の権利の評価額は60万円×10年×0.6=360万円となり、初年に45万円の贈与税がかかる。この場合、最初から600万円を贈与する意思ではなく、毎年改めて贈与の意思決定をしているというアピールと、贈与の証拠を残すという意味からも、最初の年は80万円(贈与税額2万円)、次の年は70万円(贈与税額1万円)というように毎年の贈与額を変えて、なおかつほんの少しの贈与税を支払って贈与税の申告をしておいたほうがいいと言う見解が成り立つ)。
現金贈与の場合は、銀行口座を通して行い贈与を受けた本人に贈与の事実を知らせ印鑑と通帳等は受贈者本人が管理する。土地建物等については持分移転も可能(ただし数年にわたって分割して贈与をすると分筆・測量費用や登記費用などのコストが、節税額を上回る場合もある)。贈与契約書を作成、確定日付又は贈与税申告をしておく。婚姻して20年経過した配偶者に居住用財産や住宅取得の資金贈与は最高2,000万円まで贈与税がかからない。子供、孫の住宅取得のための資金贈与も最高1,500万円まで贈与税が軽減されている。 借入金とともに土地建物を贈与する負担付贈与は土地、建物評価額は相続税評価額でなく時価評価になる点が要注意。
2、上場株の贈与(評価が下がっている時に)
3、財産の組替え
土地、建物の相続税評価は、路線価(公示価格のほぼ80%)、固定資産評価額の倍率方式になるため通常の時価より低い。現金、預金を土地、建物に組替える。
4、土地活用目的変更
貸家、アパートを建築した場合、自用地に比べ貸家建付地となり評価額が下がる。建物の一部を被相続人の居住用にする。貸家、アパートなどの敷地は、小規模宅地等の評価減により一定の面積までは50%の評価減が適用されますが、1つの建物の敷地の一部が被相続人の居住用であり、なおかつその敷地を被相続人の配偶者や一定の要件を満たした親族が相続した場合には、その建物の敷地全体の一定の面積までは80%評価減の対象となる。したがって、賃貸マンションの1室を被相続人の居住用とすることも小規模宅地等の評価減を活用できる方法の1つである。
5、債務の活用
借入金で土地購入、貸家、アパートを建築した場合、土地、建物の評価額は相続税評価額になり、貸家建付地の評価減、土地の規模により小規模宅地等の評価減の適用を受けられる。借入金はそのままの金額なので土地、建物の評価との差額について他の相続財産から差し引ける。
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