変わる中古住宅の評価
国土交通省は戸建中古住宅の売買を活発にするため2002年中に中古住宅の性能評価制度を創設する検討に入った。購入希望者が1件2~4万円程度の料金を支払って床や壁、設備の手入れ具合などの点検を利害関係のない検査人に依頼する仕組み。検査人は国家資格にしないが国が指定した研修を義務ける予定。1級建築士、不動産鑑定士、土地家屋調査士などの参入を予定している(日経04.01)。
少子化などで新築住宅需要の先行き縮小で政府も中古住宅流通市場を整備するため上記記事のように建物価格の適正な形成に必要な検査人制度を検討している。
現時点で中古住宅のマーケット価格は、取引事例比較法または簡易原価法が主流で、収益還元法は、賃貸を当初から想定して建てられた投資用物件たる賃貸アパート、マンションと異なるため馴染まない。木造の場合、大体20年程度の経過年数で建物価格はなくなる。売買契約時にも業者や売主はまだ建物に市場価値が残っていても建物価格を計上せず、「現状有姿のまま」の特約をつけ建物価格をゼロとして後腐れがないようにしたがる。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」と住宅性能表示制度の創設で今後は中古住宅の価格査定法が変わる。品確法では10年間の瑕疵担保責任が全ての業者に義務つけられた。構造上の欠陥だけでなく屋根、外壁からの雨漏りも10年間とされたため構造体の欠陥、手抜き工事による住宅の従来の短命化が相当カバーされる。
住宅性能評価書付建物が中古住宅流通市場にでてくるとマーケットは物件の格付書として評価するだろう。建物が適正に評価される環境が整備されると建物所有者もリフォームや定期点検を受けるインセンティブが付与されるため建物の長寿命化が進行する。従来の中古住宅の価格査定法も変わり、建物価格を一律に経年減価する従来方式から住宅性能表示制度に近い個別の価格査定が普及すると思われる。
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