都市再生と地方の反乱

いま政治が面白い。テレビのワイドショーは田中真紀子VS外務省官僚の壮絶なバトルを連日放映している。国益など眼中になく省益と自己保身だけを守る高級官僚達の書いた見え見えのシナリオを検証することもなく無責任に垂れ流してきたメディアもここにきて事の本質を伝え始めた。構造改革は既得権益や硬直化した組織にメスをいれなければならない。高級官僚達の往生際の悪さは破綻したSデパートの元会長の資産隠しにも似たお粗末さである。

このバトルほどメディアでは目立たないが都市と地方の熾烈な戦いがまさに始まった。地方交付税、道路特定財源の見直し、大都市再生と小泉内閣は矢継ぎ早に骨太の構造改革の方向を打ち出した。これらの構想に対し地方の首長から批判が噴出した。小泉総理は改革に反対するものは抵抗勢力と明言したが、中央VS地方の構図は改革派と守旧勢力というように矮小化できない。

鳥取県知事片山善博は「道路はもいらない」という短絡的議論でなく地域ごとに必要なところとそうでないところを検証すべきで道路はもういらないから都市にまわすという議論はおかしい。財務省は自分の庭先だけきれいにすればよいという発想があると批判した。

宮城県地事浅野史郎は東北地方は基幹的道路さえもまだ整備されていない。地方からみると道路など都市基盤の整備は都市部が先行してきた。最初に完成した道路は東名や名神だ。今は第2東名を建設すると言っているがこちらは第2どころか1本目の高速道路も完成していない。マスコミの論点は東京発の視点ばかりだ…と批判した。

田中康夫・長野県知事と梶原祐・岐阜県知事は会談し道路特定財源見直しについて「大都市圏重視の論理で乱暴」との認識で一致した。改革派とよばれる知事たちでも道路特定財源見直しについては地元の現状より見て賛成と言はない。

自冶体も公共事業に費用対効果の面より事業評価する体制導入しているところもでてきており既得権益にあぐらをかき放漫事業するところばかりでなくなった。

不良債権の最終処理による不動産の大量放出の受け皿として投資効果の高い都市再生という政府のシナリオは同時に地方へのつけ回し、地方切り捨てという側面を持つ。

今、深刻化してきた地方の地価下落はさらに加速する。地価の二極化は全国的規模で大都市と地方という新たな図式で進行する。

低生産、低収益部門から高生産、高収益部門への資金の移動は構造改革の命題であるがそれにともなう痛みは国土のデザインを大きく変えるかもしれない。マスコミも小泉人気にいつまでも浮かれてないで構造改革の中味を見据えた論議をしないといけない。

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