家づくりのポイント / 住宅展示場の活用法
家づくりにあれこれと想いを巡らせるのは楽しい作業です。筆者が家を建てたのは8年前になりますが、当時は、インターネットなど便利なものがなかったため専ら住宅雑誌やハウスメーカーのカタログの山のなかで1日中アレコレ思案したものです。今は、ネットの家づくり関連巨大サイトで、ハウスメーカーの比較から住設機器、インテリアの検討まで効率的にできます。
反面、住宅営業のネット成約率の増加や景気の低迷、少子化などの住宅需要の減速により全国にある住宅展示場は、減少傾向にあります。施主の立場から見ると住宅展示場ほど家づくりの実践に役立つツールはありません。以下に筆者の展示場活用法を述べてみます。
私はまず方眼紙に理想とする間取り図を書きました。機能性、快適性だけでなく外観デザインにもこだわる私は、4方位からみた建物立面図を、屋根勾配、窓の配置、全体の形状などに気を配り書いてみました。この作業に試行錯誤で2ヶ月ほど要しました。外観は英国の民家風の夢の家がペーパー上に誕生しました(現在、このプロセスは、間取り作成ソフトなどで短時間で簡単にできます)。
次のステップは、この家を建ててくれるハウスメーカー探しです。県内の住宅展示場を全て訪問しました。展示場のカタログを参考に各住宅建材、住設機器の名前、グレード、効用などを営業マンに矢継ぎ早に質問し、私の頭の中に夢の家に使用するそれらを選定しました。同時に構造面の安全性など各メーカーから情報を取り、建築構法を決定しました。書き上げていた間取り図や立面図は何度も細かい修正がなされていました。
最後のステップは、建築業者の決定と見積もりです。4社ほどをピックアップしいよいよ交渉です。このとき基本ベースとなる作成済みの間取り図と立面図、各施工部分の構造材、内装材の仕様、気に入った住設機器を指定して各社から平面図、建物立面図、見積書、仕様書を提供してもらい検討です。間取り、外観形状、使用資材とグレードなど大筋を決めているので見積額も概ね一致しそうなものですが、実際は、最大30%位の開きが出ました。見積書をながめて見ると一式○○千円の杜撰で根拠不明なものから法外に単価の高い部分が目立つもの、その場で簡単に大幅な値引きをする業者などがあり、納得のいく説明をしてもらえない業者は消えてもらいました。
住宅展示場活用で注意すべきは、展示場仕様はその業者の最高仕様で展示しているケースが多いことです。規模、グレードが下がればイメージと違う貧相な家になってしまうのが実情です。この面のチェックは、その業者が建てた家を実際に見ることです。このとき業者が見学を薦める業者指定の新築の家でなく、築後、5年程度経過した家を探し、外観からチェックし、できれば居住者に感想を聞くのが重要です。思わぬ建築トラブルが解ったりします。
大規模分譲地の住宅フェアーなど業者が建てた販売中の分譲住宅は、現実の規模、グレードに近く家の内部も見学できるので検証に役立ちます。家づくりは、できるだけ少ない予算で良い家を建てたい施主と、できるだけ利益をあげたい建築業者の熾烈な攻防です。施主の予算に合わせるふりをして見えない部分で手抜き工事をする業者もいます。有名メーカーが良心的とは限りません。展示場は多数のメーカーの作品を短時間で検証できるデータの宝庫です。多面的角度から営業マンの質、姿勢や会社のポリシーも比較検証できます。
家を建てると決断したら展示場へ行きましょう。結局、筆者は、有名ハウスメーカーで建てず、展示場を見た地場の会社で建てましたがとても満足しています。
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