間もなくデジタルデバイドは解消か?

米国発のデジタルデバイドという言葉は、日本国内にも急速に浸透し、特にパソコン、インターネット、メールなどが苦手または無縁な人たちに深刻な被害者意識をもたらした。そもそも米国でデジタルデバイドが議論された背景は、米国の商務省が情報技術へアクセスできる者とそうでない者との間で所得格差が存在するといった趣旨の見解をだしたことに端を発しているらしい。

日本国内で情報技術アクセス能力と所得間にどのような相関があるのか検証した資料の存否を筆者は知らないが、間もなくこの言葉の持つ意味は解消される。BSデジタル放送開始でテレビがWebにアクセス可能になったからだ。パソコンのような複雑な接続設定がなく、リモコンで簡単に操作できる。茶の間のお父さん、おじいちゃんでもネットショッピングができるようになった。また携帯電話の底面にアタッチメントを装着し、特定の文字、数字の入力で簡単にWebにアクセスできるサービスも開発されている。プレステ2などのゲーム機からもアクセスできる。さらにパソコン、携帯電話、テレビ、家電などがインターネットで繋がる環境にあって、いつ、どこでもマウス、キーボードによる操作などでなく使っていること自体を意識しないで使用できるユビキタスインターネットの時代が間もなく訪れる。

パソコンの利用目的を調査したらメール、ネットサーフィン、ネットショッピング、ビジネスになるらしい。ビジネスを除けばパソコンでできることは、テレビなどで容易にできる環境になった。しかしデジタルデバイドの解消は、日常生活レベルでの話で、ビジネス現場では、デジタルデバイドの基準である「情報技術へアクセスできる者」というレベルでは高所得を得られない。

最新調査では、派遣先企業が人材派遣会社に支払う料金は単純事務職は1,773円で下落、OA機器操作は1,901円でほぼ横ばいだが、IT関連SEの時間当料金は初級程度3,000円以上(首都圏)で上昇傾向にある。高所得を得るにはOAを操作できるだけでは無理でSEレベルのスキルを要求される。派遣先企業の要求レベルによるが技術変化の激しいネットワーク関連で最新技術をSEレベルで維持するのは身を削るような心身の消耗を代償にしなければならない。寝袋でオフィスの床で仮眠を取る位の覚悟がいるのではなかろうか。IT戦士が起業家になっても業界で生き残る確率は僅か数パーセントである。最近の米国発、ドットコム企業の倒産や人員削減が証明している。ビジネス現場でデジタルデバイドを実現するのは容易ではない。

■関連記事
  弱者が社会を支えるIT
      

おすすめ記事