不動産鑑定士がやってる仕事イメージできますか?

不動産鑑定士がやっている仕事を具体的にイメージできる人は一般に数少ない。何故なら社会的にあまり知られてないからだ。電話の受付嬢に「不動産鑑定士の○○ですが…」と名乗っても「不動産の○○さんですが…」と鑑定士抜きで取り次がれる。

テレビにも弁護士、税理士などと違いまず登場することはない。あるとき「テレビのお宝鑑定士とどうちがうの?」と若者に質問された。この仕事になりたての頃は「弁護士、公認会計士と並ぶ3大資格で、不動産鑑定とは…」という口上を挿んでいたが最近は面倒になって短く回答するようにしている。

この稿で知られざる不動産鑑定士の仕事振りの1面をテレビ的、映像的にイメージできるよう語ってみよう。

まず地味な仕事である。法務局などの官公署を回り調査する。現地に行っても隣近所に内密の調査が多いため、周辺の風景に溶け込み同化して目立たないよう心がける。肩掛け鞄はデジカメ、スケール、メジャー、物件資料、etcでかなりの重量になる。上着のポケットには携帯電話、財布には登記印紙が入っている。ある日、通りすがりに街なかで同業者を見かけた。物件実査中と空気で分かった。風景に溶け込む彼の姿を見て複雑な心境になった。

競売評価などは債務者、家族が夜逃げして家の中はゴミが散乱していることが多い。電気を止められているため冷蔵庫の中身の腐臭が家中に漂うなか足元に散乱した小学校の卒業記念アルバムや子供の描いた絵などを見たりしてもその家族の行く末など余計な感慨を持たず、無表情で粛々と業務を遂行しないと一人前と言われない。

山林の境界確認など夏場はマムシの出現を用心する。評価案件は広域に渡るため車で移動し、ウラ道情報はタクシーの運転手さん並のデータを蓄積する。

調査後のデスクワークでネットワークを組み、自前のプログラムで価格のシュミレーションなどするときは至福の喜びを味わう。不謹慎な言い方だがまさにゲーム感覚だ。この仕事ほどPCスキルの磨きがいがある文系専門職はないだろう。

いくらか不動産鑑定士の仕事イメージできるようになりましたか。愚痴に聞こえる部分も本人は結構楽しんでやってます♪

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