日本の不動産「今が買い」 / 外資JLL会長語る
日本経済新聞の推計によるとこれまで外資が不良債権を購入した金額は、1997年以降簿価で30兆円と言われている。実際の購入価額は簿価の10%以内、2~3年保有し、メリハリが利いたPMを駆使しキャッシュフローを改善、キャピタルを得て通常15%前後の投資利回りを実現する。しかし不良債権処理の大口受け皿だった外資による購入も昨年9月の米同時テロを契機にやや投資意欲に陰りが見え始めたと囁かれだした。
少子高齢化、2003年問題、2004年減損会計導入予定、中国の世界工場化による国内産業空洞化の進行と構造的問題に加え不良債権処理の重圧などを抱えどう転んでも国内不動産市況はお先真っ暗で地価下落の闇夜が当分続くという悲観予測が多い。
国内不動産市場は先行き不透明感が広がり国内大手不動産企業の動向も慎重な現時点で世界有数の総合不動産サービス会社、米ジョーンズラングラサール(JLL、シカゴ市)は日本での事業拡大に積極的だ。日経産業新聞3月18日で来日したスチュアート・スコット氏会長の対日戦略の内容が掲載されている。以下に要約すると
JLLのの日本市場開拓は1985年に日本に拠点を構えた。当時の国内不動産の価格水準を考えると、海外から日本への投資は現実的でなかった。しかし地価下落により3~4年前から日本に対する海外投資家の関心は急速に高まってきた。JLLも当初数人だったスタッフを70人超に増強している。
日本の不動産の所有意識が資産デフレ進行で、資産効率が悪い不動産を積極的に手放す動きがでてきた。今が底値かどうかは後にならないと解らないが一部の外資系ファンドのように短期間での利益確定を迫られる場合は、底値時期を特定する必要があるが、JLLの場合、中長期的視点で考えている。投資時期が底値の前後であっても別に構わない。今は底値とは言わないが、今後の値上がりが期待できるいい投資時期と考えている。
スチュアート・スコット会長は、対米テロを契機に確かに慎重姿勢は強まった。世界経済が日本を牽引するというグローバルな景気回復シナリオが崩れ日本が不良債権問題を本当に克服できるか否かについて冷静に見守っている。「日本経済の先行き」が重要な注目点だと結んでいる。
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