GIS(地理情報システム)に強力な特許が成立
地理情報システム(GIS)でKDDIが強力な特許を取得した。この特許で多くのWebベースのGISソフトが特許に抵触する可能性がでてきた。
KDDIは19日、電子地図・図面情報をインターネット上で利用可能とするための技術「Web Mapping」に関する国内特許「ハイパーレイヤリング特許」を取得したと発表した。なお、米国では、2000年8月に、特許番号6107961として既に成立しているが、今年2月19日に国内でも成立した。
KDDI研究所が取得した特許は「地図表示システム」(特許第3503397号)といわれるもので1996年にKDD(現KDDI)が「JaMaPS」と呼ぶシステムとして世界に先駆けて開発したハイパーレイヤリング技術に関するものである。
ハイパーレイヤリング技術は、道路や学校、店舗などの位置情報や国勢調査などの統計情報等、複数の位置情報をインターネット上で重ね合わせて一枚の地図として表示することで、様々な情報の同時利用 を 可能とする技術である。
例えば、あるコンテンツプロバイダが、インターネット上で銀行ATMの位置情報を提供する場合、従来は白地図情報と併せて予め情報を編集・加工し、1枚の電子地図を作成しなければコンテンツとして提供できまなかったが、本特許技術を利用した場合、異なる位置情報、地図をインターネット上で重ねて表示できるようになる。このように、位置情報コンテンツを提供する際、白地図や他の位置情報コンテンツなどと予め編集・加工する必要がなくなり、情報配信に必要なコストや手間が省け、コンテンツが提供しやすくなります。
また、クライアントは、目的に合わせ、インターネット上のあらゆる位置情報を重ねて合わせて生成することができるようになる。ユーザーサイドで自由にカスタマイズできるようになることで、オリジナルのGISツールを比較的簡単に作ることができるようになる。GISは、あらゆる業種で飛躍的に普及するだろう。
この特許に抵触する可能性が高い多くのGISベンダーからの特許料収入を目的としているというより、KDDIの狙いは同社が推す画像形式「SVG(Scalable Vector Graphics)」を業界標準にすることにあり、KDDIは、同社のサイトに、「SVG を用いた位置情報サービスの標準化と普及に貢献するため、米国での本件特許取得後、SVGでの使用に限り、本特許のロイヤリティー(使用料)を無料とすることを表明しました。」と掲載している。
「SVGはXMLを使った画像形式で線、文字などをXMLタグで表示する。このため異なるデータを合成したり、中に含まれる文字列を検索するのが容易で、特に電子地図の加工や配信に向いている。(中略)インターネットで配信される基本地図に、企業や個人がさまざまなコンテンツを重ね合わせて、オリジナルのGISデータベースを気軽に作る。KDDIが目指しているのはこうした世界」(日経コンピュータ04.04.05)
不動産鑑定業者は、GISベンダーが独自形式名電子地図にこだわるため、高価な地図データを個々に準備し、業務に合わせてGISの基本エンジンのカスタマイズをアウトソーシングしていた。これが高額の投資を強いていたが、地図画像形式の統一が進むと、電子地図、地図コンテンツの流通促進で比較的低コストでGIS業務ツールが持てるようになる。
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