会話漏れを防ぐサウンドマスキングシステム
会話の相手方以外に知られたくないような「資産内容」とか「他人とのトラブル」、「病気」、「家族の心配事」などを相談したり、会話したりするような銀行の資産相談室とか弁護士事務所、病院などで間仕切りなど遮蔽が十分でないとき、抱く不安を解消できる防音システムをコクヨが開発した。
例えば、日本のオフィスや病院の診察室は、プライバシーを守らなければならない音環境に対しての配慮が乏しいか、堅牢な間仕切りを設置するかの両極端な対応が多かった。音が筒抜けと感じたら業務に支障をきたすし、顧客が堅牢な間仕切りは、工費や、退去時の原状回復からみて問題が多い。
コクヨが開発したサウンドマスキングは、天井裏に専用スピーカーを複数配置し、空調音に類似した45デシベル程度の音をオフィス内にBGMのように均一に分散させることにより、会話漏れや騒音が聞こえにくくなる原理(マスキング効果)を応用したシステムである。マスキングサウンドは空調音と同様、それ自体が気になったり、オフィスワークをさまたげることはない。
人間の耳は一定の大きさの音が聞こえている状況下では、耳の感度が下がって、より小さな音が聞こえなくなるという特性を利用したもので、会議室などの仕切られた空間では隣室の会話を聞き取れなくするとともにオープンスペースにおいても会話音の到達範囲を小さくすることができる。
システム価格は、面積600㎡の一般的オフィスで350万円から、工事期間は通常1、2日程度となっている。
コクヨビジネスサービスは、弁護士専用の貸しオフィス「Theo(テオ)」にサウンドマスキングシステムを設置しているが、今後、ビル・施設オーナーやテナント間でも、オフィスビルや病院、銀行などで執務環境の差別化なり、テナントの退去時に原状回復が不要なため、導入例が増えるかもしれない。