ペット共生マンションのトレンド

大手は相次ぎ高層タワー型マンションを投入し、マンションの発売戸数は88,516戸、過去3番目の高水準だった。しかし、高層の希少性も薄れ、需要も息切れ状態で在庫が今年は1万5千戸~2万戸に膨らむ恐れがあるらしい。開発各社の危機感は強く、差別化のため「ペット共生仕様」マンションを誕生させた。通常のマンションより10%程度割高となるが参入各社のマンションの売れ行きは概ね好調だ。

ペット共生仕様とは

  1. 居住性
  2. 住戸内は傷つきにくい床材(オプションでコルク材の敷き詰めなど)を使用、間仕切りはペットの様子がわかるようガラス張り間仕切りにしているマンションもある。ペットの感電事故を防ぐため電源コンセント位置は高く、台所の入り口には進入防止フェンスを取り付け、リードフック、飛び出し防止フェンスなどの設備もある。共用施設として散歩帰りに脚などを洗える「グルーミングルーム」を設置、エレベーターはペットと同乗を外部に知らせるサイン付となっている。

  3. 騒音、臭い対策
  4. ペットの鳴き声を想定し、共用界壁、間仕切壁は集合住宅推奨遮音性能を満たすレベルとし、臭い対策としてマンション全体に24時間換気システムと脱臭フィルターユニットを組み合わせたセントラル換気システムを採用。

  5. ソフト面
  6. 東急不動産の同種のマンションの場合、「ペット委員会」を組織、購入者に専門知識やマナーを学んでもらう。今まではマンションの管理規約でペットの飼育細則を定めているだけのものが多く、実際にはペット飼養者のマナーに委ねられているため入居者間で苦情やトラブル発生の原因となることが多かった。そこでペット飼養者で「ペット委員会」を組織し、ペット飼養者の知識とマナー向上の為、専門家などを講師に招いてセミナー開催を規定するなど、マナー啓蒙活動をしていく趣向だ。

ペットを飼っても共生できるようにハード面(屋内や共有部分を含めた仕様や設備)、ソフト面(ペット飼育者のモラル、他の居住者への配慮、それらの意識を教育するシステムなど)を工夫されたマンションと言うことができる。

ITの進化もマンションでのペットの飼育に一役買っている。NTT-MEが販売している犬や猫向けの自働エサやり機「iSeePet」は、携帯電話から指示を出してエサをやることができる。エサやり機についているカメラで撮影したペットの様子を携帯電話から確認することもできる。

総務省の家計調査などから推測されるペット関連ビジネスの市場規模は年間で約1兆2千億と言われこの4、5年で1.5倍に膨らんだ。癒しブームの追い風でペット共生マンションもマンションのバリエーションの中で定着すると思われる。

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