女性専用防犯マンションの進化型 / へーベルメゾンサフォレ

旭化成ホームズと綜合警備保障が共同開発したへーベルメゾンサフォレ(safore)は、ターゲットを都心で暮らす単身女性に限定し、一人暮らしの不安・悩みを解消し、安心して居住できるセキュリティを緻密に配置した賃貸マンションだ。同社は、「低層集合住宅の浸入部位に関する実態調査」を実施、調査結果を設計に生かして防犯に必要な装備を実現。セキュリティレベルで差別化し、周辺賃貸住宅の家賃相場より高めに家賃を設定できる「付加価値型賃貸住宅」を目標に商品開発を行った。

8月1日に首都圏で発売し、初年度に50棟500戸の販売を目指すこの商品のユニークなセキュリティ面を、同社のWebサイト記事も一部引用しながら紹介し、コメントする。

今の時代、セキュリティ充実を謳う賃貸マンションは多い。それらは、オートロック、共用部に監視カメラが付いているとか、当該マンションを単体として防犯機能を考えるにとどまるケースが殆どだが、ヘーベルメゾンサフォレのセキュリティは、さらに進化した。

駅からマンションまでの帰宅コース、特に夜間の夜道の安全性の検証に始まり、敷地内アプローチ、空地部分、建物外周の死角、エントランスから自室までの経路となる共用部などを防犯上の観点から総合的に検証、さらに夜間の買い物の安全性・利便性もチェックした。1人暮らしの女性が安心して生活できる環境を当該マンションからその周辺エリアまで拡大してセキュリティレベルを検討している点が注目だ。

まず駅から自宅マンションまでの帰路であるが、夜道に外灯があるかとか、コンビニのような緊急時の避難施設の有無など周辺環境の安全性を様々な防犯上の観点から旭化成ホームズのスタッフが検証し、その結果、安全性が確認できないと建設は断念される。

サフォレ(safore)が建つ敷地内の外周部なども防犯のさまざまな工夫がなされている。エントランスまでのアプローチを階段を設けて高くし、夜間照明を付けるなど侵入しにくい設計工夫がなされた。また侵入が集中する1階バルコニーをインナーバルコニーにして室内に取り込み、建物1階外周部の外観をスッキリさせて死角を排除。空地部分は視認性が優れたディフェンスゲートで乗り越え侵入ができないように取り囲んだ。

エントランスホールで入居者がALSOKキー(専用のICタグ)を非接触リーダー(読み取り装置)にかざすと、各階の階段や廊下の映像が映り、自室に至るまでに誰かいないかを確認できる。1人暮らしの女性は、帰宅時にエントランスから自室までの経路に知らない人間がいることにいいようのない不安や恐怖を感じるため、サフォレの装備は、入居者の安心感を高める効果がある。

共用部には、ALSOK非常用ボタンが設置され、非常時にボタンを押すと綜合警備保障のALSOKガードセンターに通報され、状況を音声と画像で確認、不審者にスピーカーから威嚇するほか、ガードマンが365日・24時間現場へ急行する態勢となっており、必要に応じ警察への通報がなされる。

室内ではベランダに人の気配で照明がつくベランダセンサー照明、時間をセットすると自動的に部屋の電気がつく留守番タイマー照明、1キー2ロックシステムのディンプルキー、不審者の外部侵入から守るシャッター、ガラス破り侵入に強い防犯合わせガラスなど充実のセキュリティ装備だ。

最後にサフォレ(safore)の価格と賃貸事業システムだが、3.3㎡当たり70万~で、建築後は旭化成ホームズが建築主から30年間1棟一括借受して入居者に転貸する。満室時の90%保証だが、旭化成ホームズの借受家賃は契約更新時(2年ぐらい?)に見直されるようだ。入居者募集や管理は旭化成ホームズが行い、同社は、Web主体での入居者募集からスタートする。

ターゲットを明確に絞り、旭化成ホームズのデータベースやユーザ層に近い同社の女性社員のプロジェクトチームを活用、ニーズを徹底的に調べて商品開発し、差別化で長期間、安定的な賃料を堅持しようという試みは、賃貸住宅市場の激戦のおり、注目される。

単身女性が求めるセキュリティ機能は、時代とともに変わり、先端の装備もいつかは陳腐化を免れない。要は売りのそれらの機能の独自性・排他性も重要だが、長期視点での賃貸経営という観点から見ると、時代変化に応じて柔軟に低コストで更新し、競争力を維持できるSI住宅的仕組みをサフォレがどこまで備えているか、試されるのでないだろうか。

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