拡大するレンタル収納スペースビジネス

ビルやマンションの空室対策としてレンタル収納スペース事業が注目されている。この分野では既にトランクルームやコンテナを収納スペースに据えたビジネスが事業展開をしているが、本コラムでは、老朽化したり、郊外に在るため競争力で劣り、空室が増えているビルやマンションの空室対策として、当該建物の一部をレンタルスペースとして活用しているビジネスモデルを取り上げる。

例えば、日経産業紙によると都心にマンションが数多く作られた結果、マンションの限られた収納スペースでは、収まりきれない家財道具や、高級マウンテンバイクなど普通のマンションでは収容できない品物とか、海外赴任となったので家財道具一式を個人がレンタル収納スペースに預けるケースなどが増えているという。法人が利用する場合は、小人数で経営するリフォーム業者とか塗装業者が資材を預けることが多いらしい。

同紙によると東京のJR山手線内ではビル内にある収納ルームの月額で3.3平米当たり額25,000~30,000円、郊外になると賃料は安くなり、神奈川県厚木市のビル内で3.3平米当たり13,000円前後である。

ニッチともいえるこの業界であるが、大手商社がこの業界に参入してきている。三井物産系列のストレージプラスは、東京の半蔵門・南麻生のほか川崎の溝口で建物の一部をレンタル収納スペースとして貸し出すサービスの事業展開をしているが、今後は首都圏中心に出店を増やしていく予定だ。

利用者は同社から施設入り口用の電子キーと利用室のキーを渡され24時間365日いつでも利用できるため、同社のビジネスモデルは、倉庫業者が寄託契約に基づいて提供する保管サービスであるトランクルームとは出し入れの時間制限がない点で異なるとしている。輸送用コンテナを暫定利用したサービスであるコンテナとも一線を画す。

収納できるものとしては、家財道具、季節の衣類、レジャー用品などから会社の帳簿類、商品在庫など個人から法人ユースに至っており、オフィス街にある第1号店の半蔵門は、法人利用が多く、郊外の川崎の溝の口は個人の利用比率が高い。

同社の渡辺社長は、全国賃貸住宅新聞社のインタビューに答えて「アメリカではここ10年で急激に市場が成長し、現在2兆円マーケットになっている。日本でも首都圏で300億円、大阪・名古屋などの大都市圏で合わせて300億円、日本全体で600億円まで市場が拡大するだろう。」と語っている。

今後、郊外の戸建からの団塊世代などが都心部マンションへの移住などが進むと、収容力が劣るマンションから溢れた衣類や家財道具の収納需要が膨らむかもしれないが、懸念材料は、このところのマンション販売の低迷で、拡大基調の収納需要にブレーキがかかることも考えられる。

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