iPhoneの不動産活用、RoomRulerで簡単測量

今回は不動産の物件調査に活用できるiPhone測量アプリ「RoomRuler」を紹介しよう。不動産調査といえば対象地の間口・奥行や建物の高さ、建物内部の各部屋などを測定することが多いが、このようなときに手軽に使える測量アプリだ。現地をメジャーなどで採寸する代わりにiPhoneで撮影した写真から画面上でこれらの測量を簡単にやってしまうというものだ。

RoomRulerは三角測量を原理としているが、このアプリを使う分には専門的な測量の技術や知識はいらない。シンプルな画面操作でiPhoneで撮った物件写真から長さや高さを簡単に測ることができる。画面上の物件写真に測定線を配置して「長さ」や「高さ」を測るさまは、あたかも物件の現地をiPhone画面で再現して、実際にメジャーを当て採寸しているような感覚にさえなる。

まさにスマートフォン時代の申し子のような不動産調査活用ツールで、ざーっと考えただけでも以下のようなケースで役に立ちそうだ。

  • 何らかの事情があって現地でメジャーを当てて測定するのは避けたいとき
  • 現地で測り忘れ箇所があった場合に備え、とりあえず写真撮影し、後から写真測定できるようにしたい
  • 現地をメジャーで計るのが一般に困難な建物や擁壁などの高さを測定したい
  • 写真に寸法を書き込むメモで使いたい
  • メジャー測定を省略して部屋の面積を計算し、さらに間取り図を作成したい
  • 通過車両が多く、現地測定が困難な道路幅員を測りたい

どのケースも物件調査をしている者にとっては重宝する機能である。例えば、メジャーなどの測定道具が使えないときはこれまでは塀の定型サイズのブロックの数や道路側溝の蓋の数などで物件の縦横サイズを計算したり、歩幅で目安をつけるなど苦労が多かった。RoomRulerを使えば、物件をiPhoneで撮影し、iPhone画面でこのアプリを操作して手軽に物件測定ができる。ただRoomRulerを使って物件測定できるのは後記するが一定の条件下に限られる。

■使い方

操作はシンプル・直観的で使いやすい。使用前の準備段階としてアプリを立ち上げ、まずは測定精度向上の為にキャリブレーションや数値入力を行う。この設定をすることで測定精度を向上させることができる。キャリブレーションや設定が終われば、測定が可能となる。その操作手順は以下になる。

  1. RoomRulerを起動
  2. 起動すると下の画像のTOP画面が表示される。

  3. 物件撮影
  4. 「開始ボタン」をタップすると写真撮影画面になるので、物件を撮影する。撮影はiPhoneで行う一般的なカメラ撮影とおほぼ同じ要領だが、測定精度を保つためアプリの手ぶれ防止機能が作動し、シャッターボタンを押してから自動シャッターとなるので撮影に多少時間がかかる。ここで重要なのはiPhoneカメラを持って自分が立っている地表面・床面が写る状態で対象物を撮影することだ。撮影された写真は「保存ボタン」をタップすると「今日の写真」フォルダに格納される。撮影から翌日以降になると「全ての写真」フォルダに自動的に移行され、日付順に時系列で格納される。

  5. 画面で測定
  6. 測定したい写真をフォルダからタップして呼び出す。画面を長押しすると矢印(寸法線)がでてくるので、画面に合わせて伸縮して計りたいものの両端に合わせる。具体的には画面を長押しでルーラーが表示され、ルーラーの中心や端をドラッグする事によって任意の位置へ移動させる。始点・終点の位置決めは画面上に拡大画像が表示されるので、ピンポイントで指定できる。画面上に表示される寸法線は、L=長さ、H=高さ、D=足元からの距離(下の画面を参照)からなる。瞬時にこれらの測定数値が画面に表示される。

▼起動後のTOP画面


▼設定画面


▼長さ・高さを測る画面


以上の要領で、物件の計測が簡単にできる。部屋が長方形のときに限られるが面積もアプリが計測してくれる。

■さっそく使ってみた!

某公共施設の玄関部分の長さと高さ並びに道路擁壁の高さを測定したのが下の図面。「道具ボタン」をタップするとツイッターに投稿できたり、メールでパソコンに送れたり、下の画像のような黄色の枠内のメモもできて便利だ。それぞれの実測値データが手元にないので精度のチェックはしていない。

このアプリを使う上で重要なことは、基準となっている自分の足の高さにあるものの長さを測るので、撮影者が立つ建物の床面や地表面よりも高い位置にあるものの長さや、当該床面・地表面に接しない高さなどは正しく測れないという点だ。つまり下側の端点が自分が立っている地表面・床の上に位置する必要がある。また床面や地表面が高低など起伏が無く、フラットで撮影者と測定物件がほぼ同一レベル上にないと誤差が大きくなり、正しく測れないとされている点も要注意だ。開発・販売元の㈱終作によると有効距離0.1~15m、誤差2~3%で、寸法(距離)が5mを超えると誤差はより大きくなるようだ。測定誤差は現地の個別の状況や撮影方法にも左右されそうなので、測定数値の正確さを求めるときは現地を実測して、RoomRulerはあくまでも目安として活用したらいい。

筆者が考えるRoomRulerの活用法を最後に書くと、次のようになる。このアプリを不動産調査にできるだけ活用し、実測値が解る場合は、照合して検証を行っていく。その結果、数多くのデータから誤差の分布幅が分かつてくるし、現地の状況によって誤差が大きくて使えない場合の判別ができるようになる。また誤差の少ない撮影方法を工夫もできるようになるだろう。このような積み重ねにより測量精度が向上していくと思う。勿論、アプリ自体の進化も期待しての話だが…。

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