iPhoneの不動産調査活用法

いま話題のiPhone4S。なにかと高機能だが、今回のコラムのテーマは、不動産評価・調査で使われることが多いエクセルデータのiPhone4Sと仕事場や自宅のPC間でのファイル共有・同期の方法だ。

筆者のような不動産鑑定を業としている者にとってMS-Office、なかでもエクセルは賃料事例をデータベースとして整理したり、不動産価格の計算や価格シミュレーション、さらには成果品としての提出など仕事で使うことが多い。また業務に関連する資料は、PDFファイルにしてメールなどでやり取りすることが増えている。このような仕事環境で、例えば、エクセルファイルを仕事場でPCに座って入力作成し、そのデータをiPhoneと同期させて出先で見たり、iPhoneで見ているPCのデータをiPhone上で変更・修正できると仕事環境が広がって、業務が効率が上がる。仕事上でやり取りするPDFファイルも、以下に紹介するやり方で、PCとiPhone間で共有させ見るだけなら可能となる。

■Dropbox&QuickOfficeproの組み合わせでPCとiPhoneの同期が実現

iPhone4Sはアップル社が提供しているicludを使えばPCとiPhone4Sのデータの同期は自動的にできてしまうのだが、残念ながらPCのOSがVista以降対応で、WindowsXPだとサポートされていない。icludが使えない場合は、AppStoreからDropbox&QuickOfficeProをPCとiPhoneにダウンロードすれば同期が可能になる。

Dropboxとは、オンラインストレージサービスの1種で、サインアップすれば無料で2GBのディスクスペースを誰でも利用できる。PCにDropboxをダウンロード・インストールすると「My Dropbox」と呼ばれる専用のフォルダができる。iPhoneで共有したいファイルをこのフォルダに放り込んでおくと、仕事場や自宅のPCとiPhone間でまったく同じファイルが共有できてしまう。仕事場や自宅でPCでファイルに変更・修正を加えると、iPhoneのファイルもまったく同じな変更・修正が加えられ、Dropboxの高機能なバックアップシステムでデータのバックアップもできてしまう。エクセルファイルをiPhoneで見るだけならDropboxで可能だがiPhoneからエクセルファイルに変更を加えるにはエクセル編集アプリを使う。「QuickOfficePro」は、Dropboxに対応しており、iPhoneからエクセルデータの変更や追加が可能となる。

PCとiPhoneにDropbox&QuickOfficeProの環境を作る手順

  • PCにDropboxをダウンロード
  • アカウント作成(アドレスはDropboxで使用するメールアドレス入力、パスワード入力)
  • Dropboxをインストール。マイドキュメントにDropboxフォルダが作成される
  • iPhoneにDropboxをダウンロード
  • iPhoneにAppstoreで購入(有料)したQuickOfficeProをダウンロード

まずPCの中にDropboxをインストールすることで、専用フォルダ「My Dropbox」が作成される。このフォルダの中には「Photos」と「Public」というフォルダが最初からある。エクセル、ワード、PDFファイルは、「Public」フォルダに置く。「Photos」フォルダは、写真などをまとめて共有するとき等に使う。
PCの「My Dropbox」に置かれたエクセルファイルをiPhoneのQuickOfficeProで開き、必要ならデータを変更できる。変更されたエクセルデータはPC内の同ファイルにほぼ自動的に反映され、これらのデータは、Dropboxのバックアップシステムでデータのバックアップもできてしまう。

iPhone内のアプリQuickOfficeProをタップすると出てくる画面だ。PCのエクセルファイルはPublicフォルダに共有されているのでここをタップする。

筆者がPCでテスト用で作成した「賃料傾向値」というエクセルファイルがiPhoneで見れる。

セルC14の数値をQuickOfficeProで変更し、編集しているiPhone4Sの画面。変更後のファイルは、ほぼ自動的にPC内の同ファイルに反映され同期する。また仕事場のPC内でデータ変更を加えたエクセルファイルはiPhoneに反映され同期できる。

■便利だが共有データには慎重さが必要

iPhoneでデータ変更などをエクセル編集する作業は、PC内でやる場合に比べると、かなりやり難い。慣れとスキルにもよるのだろうが、PCで作成されたファイルの部分的な手直し程度から始めるのが良いだろう。また、不動産関係の業務は守秘義務や個人情報漏洩に慎重さを求められるので、扱うデータは厳重に管理できなければならない。このため、ハッカーも狙うDropboxで共有するデータは、機密性の高いものは避けた方がよいようだ。

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