2011年日本経済は浮上するか

正月なので明るくポジティブな話題で終始しよう。日経紙が民間エコノミスト15人に予測を聞いたところ、2011年は年前半はエコカー補助金終了などの政策効果剥落の反動や、中国の金融引き締めによる減速などで日本経済も足踏み状態から抜けきれないが、年後半は米国や中国など海外経済の改善を足がかりに、回復軌道に戻るという見方が大勢を占めた。

2010年は、日米金利差の縮小で円高基調だったところに4月にギリシャ危機が勃発してユーロが急落、安全資産の円買いで対ユーロ、ドルで円高が急進。80円割れも視野に入る円高に翻弄された。加えて尖閣諸島の漁船衝突、北朝鮮の韓国の延坪島砲撃と、きな臭い暗いニュースも多く、政権運営のドタバタも加わりこの国の不透明感・閉塞感をいやがうえにも増幅させた1年だった。

しかし、暗いニュースが多いなか円高耐性を増した日本企業の業績は想像を超えて堅調だった。日経ヴェリタス2011年1月1日号によると証券各社の2010年の増益率予想は野村が56.2%、大和56.9%と高い。2011年の企業業績も好調な予想値が出ており、大手証券各社の企業業績予想は概ね11%台前半に収斂する。野村証券の国内主要400社対象調査で13.3%経常増益、大和証券の主要300社調査は14.9%経常増益と概ね近似している。

好調な企業業績と先進国の金融緩和による過剰流動性相場による海外投資マネー流入で日経ヴェリタスが市場関係者69人に聞いた2011年の株価は上昇するという見方が多い。

市場関係者の日経平均の2011年株価高値予想は12,452円で2010年12月30日対比で約22%上昇となる。振り返れば2010年の世界の株価は、高い経済成長を遂げる新興国が好調ななか再度の金融引き締めが嫌気された中国の▲16.0下落はあるが、米株がリーマンショック前の水準を回復する17.5%上昇、インドネシア・ジャカルタ総合は46.0%もの上昇だったのに、各国に出遅れ▲3%下落という有様だった。

世界の株価指数 騰落率
インドネシア・ジャカルタ総合 46.0%
タイ・総合 40.9%
ロシア・RTS 22.4%
韓国・総合 21.4%
米・ナスダック総合株価指数 17.5%
独・DAX 17.4%
インド・SENSEX 16.0%
カナダ・S&Pトロント総合 14.5%
米・ダウ工業株30種平均 11.1%
英・FTSE100 10.8%
シンガポール・ST指数 10.7%
台湾・加権指数 8.3%
香港・ハンセン指数 5.0%
ブラジル・ボベスパ 0.5%
豪・オールオーディナリーズ ▲0.2%
仏・CAC40 ▲1.2%
アイルランド・ISEQ全株 ▲3.0%
日本・日経平均株価 ▲3.0%
ポルトガル・PSI-20 ▲8.3%
中国・上海総合 ▲16.0%
スペイン・IBEX35 ▲16.4%
ギリシャ・アテネ総合 ▲35.0%

※出典:日本経済新聞

しかし、2011年の日本の株価は、好調な企業業績を背景に、出遅れ感から見直し買いが入り、過剰流動性相場の恩恵を受け海外マネーも流入して、世界の株式市場の中でも高いパフォーマンス達成すると市場関係者から期待されている。

因みに市場関係者が選ぶ有望銘柄は次の通り。「卯年の相場は跳ねる」というアノマリーがある。最強のアノマリー「大統領選の前年は株価が上がる」の該当年に当たる。夢を買ってみるのもいいかもしれない。

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