賃貸併用住宅考察 / 大和ハウスxevo+R
建て替え予備軍の住宅ストックは全国で1,080万戸ある。その大半は耐震性などに問題があるが、建て替えを必要と感じている世代は年配者が多く、将来の生活不安からローンを借りて建て替えることを敬遠しがちだったり、ローン融資が困難なケースが一般的だ。
大和ハウスが2月に発売した賃貸併用住宅「xevo+R(ジーヴォ・プラスアール)」は上層階が自宅で低層階は賃貸住戸で構成されている。戸建の自住部分に賃貸部分が+αで加えられており、賃貸部分から上がってくる賃料収入で住宅ローンの負担を軽減し、併せて光熱費や建物メンテナンス部分も軽減しようという試みだ。
軽量鉄骨造で自由設計、建設費は3.3平方メートル当たり75万円台から、販売地域は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県など首都圏限定だが売れ行き次第で今後、関西圏や中部圏の都心部にも扱いを広げていく方針だ。
賃貸併用住宅は珍しいものではないが、この商品のウリは
- 大和リビングとともにペア・コンサルタント営業で要望段階から賃貸市場動向・エリアニーズ把握・賃料査定・長期安定経営のためのノウハウといった、賃貸併用住宅経営に係る諸問題の提案をする
- 家賃収入を20~30年保証する制度。子会社の大和リビングが一括借り上げし、空室の場合も家賃の90%を保証して「空室リスクの不安を払拭」
- 入居者の募集など賃貸部分の管理・運営も大和リビングに任せられる
などである。
賃貸住宅でも「外張り断熱」の省エネルギー、高耐久構造で、狭小賃貸物件につきものの隣家の騒音にもも対策を講じて上下階の床や居住部分と賃貸部分の壁には、ALC床や遮音界壁を採用することで音の問題を軽減。空き巣が入りやすい1階住戸は防犯サッシを採用し全戸にカラーテレビドアホンを導入するなどセキュリティも配慮した。
しかし、賃貸併用住宅は、メリットばかりでない。まず賃貸部分の戸数を多く取って賃貸面積を小さくすると100%自住に比べ建築費がかなり割高になる。また空室や家賃下落など賃貸経営に伴うリスクがあることは当然だが、1棟の家に建物に対する意識や愛着が違う大家と入居者が併住するので双方にストレスや不満がたまりやすい。なかには大家が1棟の家のなかに住んでいることを嫌う入居者もいる等である。
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