アウトレットマンション業界も曲がり角へ

首都圏では、マンション市況回復が進んでおり、ようやく業界にも明るさが戻りつつあるが、隙間ビジネスで低迷期の市況を追い風としてきた再販業者は、曲がり角に差し掛かつている。

首都圏のマンション販売在庫が今年1月末時点で6,732戸と前年同月末比で約42%減少するなど在庫圧縮が進んでいる。一方、再販業者が販売在庫を4割引きで購入し、2割引きほどで顧客に販売するというアウトレットマンションのビジネスモデルが仕入れ物件の減少で成立しなくなっている。またアウトレットマンションへの事業参入が急激に増えたことも、このビジネスモデルの先行きを暗いものにしている。

そこで当該業界も事業規模縮小や業態の変換を模索し始めた。日経産業新聞によると、同事業に参入したリベレステやアーバネットコーポレーションなどが本業である自社開発の再開や建設途中の仕掛かり物件の開発・販売などに軸足を移し始めている。同紙によると、自社開発への回帰は、地価や建築費が下がり始めるなど事業環境が好転しているからで、土地の仕込みが再開されている。リベレステでは都心や首都圏を中心に7ヶ所で開発を進めており、アーバネットは主力行の融資を受けて東京都港区で総戸数36戸のワンルームマンションを5月に着工する予定だ。

また建設途中の仕掛かり物件の開発・販売事業だが、デベロッパーの経営破綻などで止まった工事を再開させて完成し、販売する事業で、マンション再販各社が、経営破綻したマンション開発業者の未完成物件を買い取り、工事を完成させて格安で販売するというビジネスモデルである。

金融機関が差し押さえた破綻デベロッパーの未完成物件を買い取って完成させ、一般の新築マンションよりも1~2割程度安い「掘り出し物」として販売するのだが、デベロッパーの倒産は、当面は続くので、再販各社は今後も未完成物件が増えるとみている。

物件の購入の主要ルートは、金融機関が競売する前の任意売買や競売になる。用地を仕入れ、建築許可、建築・販売と進む通常のデベロッパー業態では少なくとも資金回収に2年はかかるが、建設途中の仕掛かり物件を取得する場合は、事業期間が短縮され、資金回収が早まるというメリットがある。

マンション市況が回復へ向かいつつあることで販売在庫が減少したため、再販業者がやむなく本業回帰や未完成物件の再販へ方向転換が図られているのだが、未完成物件の再販については市況が完全に正常化される迄の過渡的ビジネスであることに変わりがない。販売在庫や未完成物件のいずれにしても取得し、再販する時は通常の新築マンションに比べ2割ほど低価格になるという価格競争力に活路を見出しているというのが共通点といえる。

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