ビルの空室対策にドリンクステーション
株式会社ウエックスという会社が事業展開する「ドリンクステーション」は、ビル内の小スペースでも実現できる自動販売機を利用した低コスト&24時間サービスの無人カフェである。どのような商品が提供されるのか、同社のサイトから紹介すると、「挽きたて、作りたてにこだわった紙カップ式自動販売機はもちろん 缶・ペット・紙パック飲料など全50種類のドリンクが設定でき、飲み物だけでなく、サンドイッチやホットドック、お菓子やカップ麺などのフードメニューも充実している。」
自販機設置ビジネスも飽和点に達したと言われているが、同社の特徴は、自販機内の商品の価格が安価に設定されていることだ。自販機の缶コーヒー、ジュースは、一般に百数十円するが、同社は「ツー・ダウン」というオリジナル機械で80~100円で提供している。これは自社プライベートブランドや大手メーカーの在庫整理品を入れてコストダウンしているため、安価な価格設定が可能となっているからだ。
そして従来のビル内自販機設置スペースとの違いは、椅子やテーブルなどその場で食事ができるカウンタースペースが用意され、喫煙スペースもあるところだ。さらに規模によっては無線LANに対応した店舗もあり、サラリーマンの簡易業務スペースとしての利用も狙っている。
景気低迷、デフレが長引くなか、サラリーマンの懐具合が寂しくなっており、昼のランチが敬遠され、コンビニの弁当やパンで済ますことが増えている。ビル内のドリンクステーションの軽食は、デフレ経済下の節約志向の世情にもあっている。また執務室から離れた簡易業務スペースとして案外、いろんな使い道があって何かと重宝するのではないだろうか。
無人カフェだと下手すれば、不潔で近寄りがたいスペースになってしまいがちだが、巡回スタッフが商品や釣銭補充・清掃等をおこない、都市部など利用者の多い場所に集中出店した場合には、清掃スタッフを常駐させ、管理の手間がかからないように工夫されている。
「3~10坪の小スペースで月商180万~300万円の売上高を達成する。(月刊プロパティマネジメント 2010年02月号)」というこのビジネスモデルは、空室や空きスペースに悩むビルオーナーに福音となりそうだ。同誌によると目下のところ大阪市を中心に不特定多数が通行・利用する駅周辺ビルの地下1階~1階で事業展開しており、ウエックスが想定する賃料は立地にもよるが、例えば3坪の場合、月坪当たり5万円ほどが目安となっている。
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