市場関係者が決めた株価予想

新年早々なので、2010年の株価予想をしてみよう(地価・不動産価格予想は筆者のコラムをクリック)。2010年の日本株は新興国に比べ成長性が乏しい分、パフォーマンスはあまり高くないものの市場関係者の予想の平均値は、高値予想平均で約16%上昇とマアマアの水準までは行きそうだ。とはいえ09年の日経平均の上げ20%には届いていない。この先の国内経済の回復はデフレ、円高リスクをしのいでも底ばいに近いL字型となるという見方が多いが、その点からこの株価上昇率は何となく説得力を持って見えてしまうのだが…

株価が最悪期を脱しそうなのは、09年で株式相場を苦しめた円高と需給悪化を招く増資懸念が一段落しそうなのとリーマン破綻以降、株価の割高感の指標となっていたPER30倍水準から企業の業績改善と株価低迷からPER20倍まで低下したことなどで、2010年株価はこれらを織り込んで形成されそうなのだ。2010年は7月に参議院選挙があるので、マクロ経済の司令塔不在で迷走した現政権も為替や株価には敏感に反応すると思われる。

例えば、2010年は円安になりやすいという見方があるが、その理由を考えてみる。円高の原因の一つとして日米の短期金利の逆転があった。つまりLIBOR3ヶ月物金利は日米で逆転し、日本より米国が低かったのでドルキャリー取引で円高が進んでしまった。しかし、2010年では米国のGDP成長率>日本のGDP成長率となる可能性が高いし、デフレにしても米国より日本がもっと深刻だ。つまり米国の失業率と個人消費は改善の兆しが出てきているし、中央銀行はこの先のインフレ懸念と失業率の改善程度を考えて政策金利を上げるので米国が秋口にも利上げする可能性が高い。一方、日本は、デフレがしばらく続く国内経済状況から米国に遅れて利上げするという見方が一般的だ。つまり、米国の金利は徐々に上がっていくが、日本の金利は横ばい基調で上昇しないため、円安になる可能性が高いという訳だ。また昨年、ドバイショックを受け、現政権は日銀に協力を求め、円高・株安の危機感を共有し、日銀の3ヶ月もの市場金利を0.1%に誘導、10兆円を市場供給した。マーケットに「政府と日銀は協調して対応した」と認識させたことは市場に安心感を与え、円安・株安の進行の下値抵抗線となる効果があった。

日経ヴェリタス(2010年1月3日号)が市場関係者70人に日米中の主要株価指数の2010年見通しを聞いたところ、日経平均の高値予想の平均値は1万2,206円で09年末(1万546円)と比べた上昇率は約16%。高値の時期は12月が最多であった。安値予想の平均値は、9,044円。時期は2月、3月が多い。いま巷で囁かれている景気の2番底は、2010年の前半に来そうだと筆者も予想するのだが、株安の予想時期と一致する。その理由は、各国の景気刺激策が息切れするタイミングになるし、現政権の緊急経済対策の実行が4月頃から始まることと、子ども手当支給が6月になるので、年後半は内需が景気を支えるにしても年前半は景気対策の空白期間となるからだ。11月のドバイショックと84円までなった円高による株価調整が9,000円割れを起こさなかったことを考えると安値予想9,044円も「そうかな」と思ってしまう。しかし、市場には、サブプライム問題やドバイショックのような予測不能の「ブラックスワン」が潜んでいて突然牙を剥くか解らない。市場関係者の中には7,000円台の下値予想もあったようだ。

因みに世界各国のなかで2010年に株価パフォーマンスが高いのは以下の順になった。

▼2010年株価上昇順位予想

  • 1位 中国
  • 2位 インド
  • 3位 ブラジル

さらにスカパー大和証券情報TV(12月30日収録分)の大和証券投資情報部塩村賢史氏の2010年株価予想を紹介しよう。大和300の2010年企業業績見通しから金融危機前のPERレンジ(15~20)の平均値17.5を使って計算し、株価予想をすると12,000円は無理なく達成し、上限で13,000円となる。

最後に日経ヴェリタス誌、大和証券情報TVによる市場関係者お薦め有望銘柄を選ぶテーマ・基準を紹介すると、

  • アジアなど新興国で稼でいるか
  • 環境関連
  • 業績好調なハイテク、IT
  • 高齢者市場
  • ネット通販

となる。銘柄によっては複数のテーマにまたがる成長性が高いものがあるのでじっくり検討して夢を買ってみるのも良いかもしれない。

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