住宅版エコポイントに住宅業界の期待が高まる

新政権が環境政策、景気対策から出してきた住宅版エコポイントは、2009年度第2次補正予算案に約1,000億円を計上しているが、案外、住宅のリフォーム需要を喚起して経済・雇用対策で効果があるのではないだろうか。前政権で実行されたグリーン家電普及促進のための「エコポイント」や、エコカーに対する「エコカー減税」が財政支出の費用対効果からみて高い得点を稼いだからだ。

当制度は、年明けから実施される予定だったが、折からの景気の2番底懸念の浮上で、着工時期を前倒ししてきた。つまり住宅版エコポイントのポイント発行対象で

  • 平成22年1月1日以降に工事に着手した住宅
  • 補正予算の成立日以降に工事が完了し、引き渡されたもの

を対象とするとしていたが、新築住宅については、

  • 平成21年12月8日以降に建築着工した住宅
  • 補正予算の成立日以降に工事が完了し、引き渡されたもの

を対象とすることに変更された。

同制度は、断熱材や二重サッシなど断熱効果の高い住宅を新築・改修した場合、エコ家電などの商品購入に使えるポイントがもらえるものだが、ポイントの発行方法や還元方法等制度の詳細は決まり次第、改めてお知らせするとなっている。

エコポイントの付く住宅の新築や改修に以下の基準を設けているので整理すると

1、エコリフォーム

  • 窓の断熱改修(内窓設置(二重サッシ化)、ガラス交換(複層ガラス化))
  • 外壁、天井又は床の断熱材の施工

※これらに併せて、バリアフリーリフォームを行う場合、ポイントを加算

2、エコ住宅の新築

  • 省エネ法のトップランナー基準(省エネ基準+α(高効率給湯器等))相当の住宅
  • 木造住宅(省エネ基準を満たすものに限る)

住宅の場合、開口部からの日射の取得や熱の流出が住宅内熱流出の5割程度もあり、住宅の性能面で開口部の果たす役割は大きい。シングルガラスの窓やサッシを、二重ガラスのものに付け替えると、熱が逃げる量を半減させることができるので、暖房を削減し、環境対策の至上命題である二酸化炭素排出量も削減できることになる。

また、外壁、天井又は床の断熱材の施工もエコポイントが付く。住宅設備機器メーカーは環境に優しいこれらの製品開発を一層進めるだろう。日本国内だけでなく環境に優しい省エネ住宅は各国も政策的に支援すると思われるので、ビジネスチャンスは拡大すると期待される。

注目されるのはガスも高効率な給湯器にエコポイントが付くことだ。野村證券の「野村週報第3203号」では、これを機にガス給湯器の優位性が見直される可能性があると見ている。これまで日本ではエコキュート(電気式の給湯器)に大きく補助金が付いてきたが、日本のエコキュートは、深夜電力の活用を基本としていて、主に火力発電が元になっているので必ずしも環境に良くないからだ。

新設住宅着工戸数が、42年ぶりに100万戸を割りそうな冷え込んだ住宅市場、低価格にシフトしたパワービルダーの業績が好調なのを除けば溜息ばかりの住宅業界関係者に久々の明るいニュース。グローバルな環境対策にも合致した「住宅版エコポイント」への夢や期待が「正夢」になればよいのだが。

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