縮む市場、郊外カラオケボックス
郊外ロードサイドを車を走らせて気づくのはカラオケボックスの撤退が続いていることだ。大手チェーン店の進出で室数が少ない小規模なカラオケボックスが淘汰され消えている。
1980年代に登場した第1号店は岡山の郊外ロードサイドで貨物用のコンテナボックスを改造したものだった。やがて通信カラオケ、LDチェンジャーを搭載し、演歌世代のおじさんから若者ソングまで幅広い世代の支持を得て瞬く間に日本中を席捲した。郊外ロードサイドでは土地所有者に遊休地の土地活用でカラオケボックス建設を勧め、市場参入する企業も増えた。
カラオケボックスが登場する前のカラオケは、スナックなどでママが客から曲の注文を受けて機器を操作し、流れてくる曲に合わせて客がマイクを持って歌うといった形態だった。そして飲食代がかからず、他の客に遠慮せず心行くまで歌うことができるカラオケボックスが登場した。日本が生んだ特異なアミューズメント空間の誕生であるが、日本のカラオケは米国や英国にも上陸することになる。
国民の4割弱が利用しているといわれるカラオケボックスも低迷気味だ。2008年の施設数は9,116ヶ所でピーク時の1996年に比べると施設数は4割弱近く少なくなった。特に郊外ロードサイドでの減少が目立つという。その原因は宴会やパーティ需要の落ち込みとか、ヒット曲が少なくなったためだとされているが、近年の長引く不況の影響も大きい。業界内部でも過当競争から室料が低下し、スケールメリットと機器の新機能や接客、飲食などソフト面での優位性で大手チェーンでないとやっていけない状況になっているらしい。
施設経営者の経営の課題は、
- 料金設定を解りやすくシンプル化する
- 従業員は比較的少人数で済むが、パート・アルバイトの接客教育を徹底する
- 飲食メニューの充実
- カラオケの楽しみを拡大させる新機能搭載機器を揃える
といった顧客満足度を高め、リピート率を向上させることである。
縮む市場に対応するため、カラオケ機器各社は新機能の開発に余念がない。例えば、通信機能を使って、全国のカラオケボックスの利用者間で歌唱力を競うシステムや音の響きを自動的に調整して歌が上手く聞こえるようにする危機を発売している。また自分自身のキャラクターで遊べる「アバター」を新規搭載し、高い採点を取ると洋服などのアイテムを入手できるなどの機能も開発されている。
■関連記事
郊外ロードサイドビジネスに異変