住宅地の底入れは来年か、鑑定士の体感地価

日経ヴェリタリスが三友システムアプレイザルと共同で不動産鑑定士、全国129人にアンケート調査した。日々の鑑定業務から得られる「体感地価」を通して地価の現状や今後の見通しを探るという狙いだ。詳細は日経ヴェリタス2009年9月13日号さらに日経ヴェリタス2009年9月20日号に掲載並びに掲載予定である。

日経ヴェリタス2009年9月13日号の掲載記事によると、現在の地価動向は住宅地、商業地ともに地域を問わず上昇しているというという声は皆無だった。

地価の底値タイミングについては首都圏で1年以内という観測が多く、住宅地の底入れが商業地に先行する。地方では底入れは3年以降先になるという声が多かった。筆者の地価底入れ観測もこのアンケート結果に近い。その理由は、首都圏で価格調整が進み、価格の値ごろ感と相俟ってマンション在庫や契約率の改善が進む一方で、都心オフィスビルの空室率や賃料下落が依然として厳しい状況にあり、オフィス市況の改善には2~3年ぐらいかかるいわれているからだ。店舗にしてもいわゆる都心1等地と呼ばれるエリアの賃料下落が激しい。個人消費が高額商品を中心に凍りついているため、売上や利益が急減し、業種ごとの賃料負担率から導かれる賃料が売上不振に連動して下落している。生産面での経済指標が改善してきたとはいえ景気回復に遅行する雇用や所得の改善が見込めない。失業率や有効求人倍率の推移を見ていると現状からさらに悪化する可能性が高い。つまり個人消費の好転はかなり先になると思われる。

地方圏の底入れが首都圏に遅行するのは、例えば札幌、仙台、名古屋、福岡などで住宅地、商業地ともマーケットがファンドやリートによる物件供給過多で歪になっており、需要量を無視して利回りに魅せられて過剰供給してきた精算に相当の時間がかかるからである。

もっとも大半の地方都市ではファンドバブルもなく地価が長期にわたり右肩下がりで下落しており、「底打ち」は死語と化している。

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