イオンレイクタウンの「見えるエコ」戦略
2008年10月2日、埼玉県越谷市に開業したショッピングモール「イオンレイクタウン」は、延べ面積36万m2、店舗面積22万m2を有する日本最大級のSCだ。「イオンレイクタウン」は、都市再生機構が開発を進める土地区画整理事業「越谷レイクタウン」の中核となる商業施設で、「越谷レイクタウン」自体は将来7,000戸、2万2,400人の町になる予定。イオンレイクタウンは、規模とともに「見えるエコ」と呼ばれる数々の環境対策が注目を集めている。
郊外SCは買い物客を大量に集客するため各店舗が排出する二酸化炭素(CO2)の量は膨大になる。そのためのエコ対策だが、イオンレイクタウンに設置された低炭素化社会の象徴であるソーラーパネルの合計面積は、国内商業施設最大の4,000m2。瞬間最大発電量は487kw、年間約41万kwhの太陽光発電を行い、削減されるCO2排出量は年間約175トンの計算になる。
またイオンレイクタウンでは建物の一部を壁面緑化して室内温度を快適に保ち、CO2排出量の削減につながる仕組になっている。特に「kaze」に設置されている苔を使った壁面緑化パネル、「苔タイル」の断熱効果は高く、通常の外壁タイルに比べ、吸音性、断熱性に優れる。夏場の遮断効果と冬場の断熱効果が高く、ヒートアイランド現象対策としても注目を集めている。
さらに注目されるのは次世代エコカーの本命「電気自動車」を見据えての対策だ。イオンレイクタウンでは国内商業施設として初めて、電気自動車用の急速充電ステーションを設置した。買物の合間30分程度で、満充電時の約80%(120km)走行可能な充電ができる。
イオンはかねてより店舗のエコ化を標榜しており、「イオンレイクタウン」で究極のエコ対策を実現したとも言えるのだが、エコに積極的な企業というイメージとその話題性が集客動員にかなりの部分は影響していると思われる。
日経アーキテクチュア記事によるとイオン側は、設計施工を行った大林組に一見してエコと解るデザインを求めたので、太陽光発電がシンボリックに見えるように工夫された。例えば、太陽光発電パネルの塔は「mori」の南側の目立つ場所に配置され、当該塔の上部がパネルで覆われた。JR線に面した立体駐車場の外壁もパネルの大壁面になった。
郊外SCの飽和やこのところの不況で、イオンは、国内での大規模SC展開を当分の間は抑制する方向のようだが、イオンの「見えるエコストア戦略」は、今後の国内大型商業施設開発のエポックメーキングな手法となるだろう。
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