サブプライムローン暴落相場で大儲けした投資家
米経済誌フォーブスが3月11日に発表した2009年版世界の富豪番付は金融危機を反映して株や株式が暴落し保有資産を大きく減らした者など悲喜こもごもだった。ビルゲイツやウォーレン・バフェットのような常連の富豪も折からの金融危機の痛手を被り保有資産を減らした口だ。なかでも象徴的なのがロシア新興財閥のオーナーオリガルヒだ。日本のテレビでも紹介されたが世界的資源価格の高騰で巨額の富を得たが、一転して資源価格の急落が襲い、今では資金繰りに窮する有様で政府支援に頼っている。
日本の富豪ではファーストリテイリングの柳井氏が日本一の富豪として76位にランクアップされた。柳井氏のユニクロは折からの不況を追い風の節約型業種で時代の流れを感じさせるものだが、注目すべきは柳井氏と並んで世界の富豪にランクアップされた米ヘッジファンドの経営者ジョンポールソン氏だ。同氏はサブプライムローンに内在するリスクをいち早く嗅ぎ分け、2005年頃にその暴落のシナリオを綿密に分析、債券を空売りして、取引の保険として機能するクレジットデフォルトスワップ(CDS)に投資する手法を完成させた。2007年からのサブプライムローン問題の噴出で、サブプライムローン商品の下落に賭けた投資で彼のヘッジファンドは2007年に+600%、2008年も+38%と高いパフォーマンスをたたき出した。金儲けの歴史の中で短期でこれほど儲けた男はいないといわれるほどの投資成果を上げた結果、いまや最大手のヘッジファンドに登りつめたのだ。
流れが変わる局面で、その底流の変化を傑出した能力で人より速く判断することができ、その変化をどう金儲けに結び付けるかのシナリオ構成力があれば、総悲観のこの流れから、底流変化をいち早く読んで途方もない投資チャンスを掴むことも不可能ではないだろう。
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