ロードサイドの主役”外食”の勝ち組負け組み
外食産業全体は、市場が縮んでいるが、そのなかでも勝ち組と負け組みがある。不景気で個人消費が低調な昨今ではまず生活防衛色が強いため、
- スケールメリットで仕入れコストを削減して低価格で魅力のある商品を提供できるか
- 人口構造の変化に対応しているか
が決め手のようだ。
スカパーチャンネルテレビの経済専門番組ブルームバーグテレビジョンで「いちよし経済研究所」の鮫島氏は、外食の勝ち組と負け組みを分けるものとして上記の点を強調している。さらに鮫島氏は外食市場は縮小しているものの勝ち組になれるチャンスはあると語る。1人世帯などでは家で食事を作って食べる内食よりも外食のほうが安上がり。今春から輸入食材の価格が下がる。折からの不況で人件費が下がっており、従業員定着率も上がっている。などがその理由だ。例えば、サラリーマンのランチ代平均は1日当たり570円で、不況色が強まった昨年の10-12月期にあってもこの価格帯の店は既存店で3.5%売り上げが伸びているらしい。日本の世帯数4,900万戸のうち半数は1人か2人世帯に人口構造が変化している。低価格化と人口の構造変化に対応できてないのがファミレスが苦戦している理由だ。いまだに標準ファミリーを想定したビジネスモデルから抜けきれず、客単価も1,000円超と比較的高い。余談だが、鮫島氏は、株式投資の推奨銘柄としてセルフサービスうどんの「トリドール」やオーストラリア産牛肉が2割下がっていることとかオーストラリアドル安で食材コストが削減される「ゼンショー」などを挙げていた。
ここから株から不動産の話になるのだが、1人世帯の者が、内食するより安上がりな外食を選ぶのは、車で行く郊外ロードサイドのファミレスではないだろう。1人世帯の者が住む都心部や駅周辺にある中小型店舗になるのではないか。
かつて日本経済の高度成長期は、人口増加もあって都心部から郊外へと消費や住居が奔流となって溢れていった。その結果、都市郊外のロードサイドにはファミレスが全国いたるところで金太郎飴のように同質化された顔を連ねていた。駐車のための広いスペース、似たような店内レイアウトと他店と変わり映えのしないメニュー、混雑時には待たされる食事、家族で行くと財布が随分と軽くなる安くない勘定書等々…人口構造とライフスタイルの変化がいつの間にかファミレスを映画「ALWAYS3丁目の夕日」のような懐かしい昭和の遺物にしてしまった。
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