RC造3階建の屋上を増築してリノベーション

第一生命保険は都内の社宅をリノベーションやコンバージョンして賃貸住宅として再生させる事業を進めている。日経住宅サーチのサイトや日経アーキテクチュアに紹介された「第一生命池尻リノーベーションプロジェクト」は、まさにそのような事業展開のなかから生まれたユニークな賃貸住宅である。

紹介記事を参考にしてまとめると1981年竣工、旧耐震基準の2層と3層の2棟を外階段で連結するRC造の社宅の屋上に鉄骨造の住戸を増築して4階建賃貸住宅にしたのである。木造など平屋の住宅が2階建に増築されるのはよく見る光景だが、RC造の既存建物の3階建の屋上にもう1層増築で3+1層というのはちょっとしたカルチャーショックでないだろうか。屋上にプレハブ小屋を一時的に置いて使っているのは珍しくはないが、賃貸住戸として増築しているのには筆者の記憶を辿ってみてもお目にかかったことがない。

一部外壁を移設して広がりを持たせ、各住戸は間仕切りや設備を取り払いスケルトン状態にして、新たな内外装を施した。外壁をガリバリュウム鋼板にしてデッキテラスエントランスを新設した。エレベーターは中央の屋外階段部分に外部取り付けし、エントランスには電気錠で防犯性を高めている。

もともとは3LDKのファミリー用社宅だったので再生後もゆとりのスペースが生まれた。建築時には3層が4層になるという想定で柱や梁など構造部の構造計算がなされていなかっただろうし、旧耐震基準なのである。「地震に大丈夫なの?」と思ってしまうのだが、既存建物の構造のバランスがとれていたことと、間仕切りなど不要なものを取り除き建物の重量を軽くすることで新たに加わる4階の荷重を支えることができた。容積に余裕があったこともこのプロジェクトを可能にした。

既存店舗+既存住戸6戸+増築住戸2戸+増築オフィスから構成され、すべての住戸プランが異なり、内断熱で木製サッシとペアガラスを使うなど断熱効果と室内環境性能を向上させている。南傾斜で眺望が良いため屋上に増築した2戸の住戸は早々に入居が決まったらしい。

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