アウトレットマンションというビジネスモデル
TV東京の「ガイヤの夜明け」で紹介された「アウトレットマンション」のビジネスモデルは極めてシンプルだ。マンション業者が発売したものの売れ残ったマンションの部屋を4~5割引で買って、エンドユーザーへ通常販売価格の2~3割引で売る。その差額-(購入・売却コスト)がアウトレットマンション業者の利益となる。販売不振から売れ残り在庫を抱え資金繰りが苦しかったり、完成在庫を早々に整理して次の事業にかかりたいデベロッパーや債権の回収を急ぐ金融機関などから物件を仕入れ、チラシや広告を使ってエンドユーザーに再販する。このビジネスの先鞭をつけたのは新都心リアルコーポレーションといわれている。ジャスダック上場のアーバネットコーポレーションも参入しているほか、「マンションの再販事業については、中堅デベロッパーのタカラレーベンや明和地所などのほか、大手不動産流通会社の東急リバブルや野村不動産アーバンネットも仲介事業や受託販売部門強化の一環として参入している(asahi.com 2008.10.3)。」
思い起こせば、バブル崩壊後、しばらくの時を経て、国内の不動産価格が底なし沼のように下落し、今から考えるとまさにボトムともいえた1997年、国内金融機関の不良債権処理でバルクセールが行われた。この時、叩き売られたアセットを買い、市況回復時に思う存分の転売益を上乗せて売ったハゲタカ商法にも相通じるビジネスモデルであるが、市場が低迷時期に限定の古典的商法でもある。
アウトレットマンションのビジネスモデルを支援するサイトが登場した。日経08年12月10日、全国賃貸住宅新聞08年12月8日に紹介された不動産紹介サイト運営のファーストロジックの不動産ポータルサイト「住宅の楽待」がそれだ。「楽待」は、「値下げ前の価格で買ったユーザーからクレームが出るのでは?」という売り手側の不安心理やこの種のトラブル発生を回避する工夫を施した。「楽待」では、購入を希望する者が会員登録をする。購入したい不動産の価格や立地などを入力。同社のシステムを経由し、不動産会社が希望者の条件に近いアウトレットマンションのみユーザーに伝える。同社ではこのような情報配信は非公開で行うとしている。このように物件・価格情報を限られた当事者間に限定配信させることで値下げ価格を値引き前価格の購入者に知られないようにしているのだ。
ユーザーの視点でアウトレットマンションを考えると、このようなアウトレットマーケットは、物件ボリューム・エリア範囲が通常の新築マンション市場と比べると当然に限定的なため、立地、環境、間取り、設備、構造体などがユーザーが希望する条件に適う物件になかなか遭遇しないといえる。マーケットの質・量の拡大が今後の課題だろう。またユーザーが、価格メリットだけで妥協してしまいマンション本来の品質をよく吟味して買わないと、お得な価格で買えたとその時は思えても、中古価格になった時、「価格落ちが大きい物件を掴まされ、値引き分が飛んだ。」ということになりかねないと肝に銘ずべきであろう。
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