RC造の3倍強度のハチの巣状工法

積水化学工業が、開発したコンクリート高層建築技術の「ハニカムチューブ・アーキテクチャー(HTA)」は、六角形の網の目が壁となりチューブ上の建物になるという革新的な建築工法だ。日経産業紙(07.05.09)に紹介されたその外観は、ユニークでSFの基地のように見える。とにかく見るものに与えるインパクトが強い。外観だけで下手なデザイナーズ住宅より訴求力が高い。

ハニカムとはミツバチの巣のことで、自然界に広く存在する六角形の構造を建築に応用すると力を分散させ、柱とハリによる構造に比べ耐震性などが高いことが解ってきた。

日経産業紙によると、3分の1スケールの4階建て実験棟で耐力性能テストを実施したが、同等の鉄筋コンクリート造の構造物より5倍以上の強度があることが確認された。コンクリート使用量を約35%削減し、セメント使用を減らすことで二酸化炭素(Co2)の排出量削減にも効果がある。

工場生産のPCコンクリート部材を現場に運び、鋼棒とナットの定着器具を使い六角形のフレームを組み立てる。六角形の大きさは自由に変えられる。建造物の形は円筒状になるが、4角形なども可能で20階程度の通常のビル建設ができる。

HTA建造物は、柱とハリがないため、例えば賃貸マンションなどを想定した場合、住戸の内部空間も自由度が高くなるのではないだろうか。

これからのRC造建築物は、長寿命の視点から、高耐久性を持つ建物のスケルトン部分と住まい手のライフスタイルやライフステージの変化に合わせて10年~30年程度で変更する間取りや内装などインフィル部分を分離したSI住宅になっていくと思う。

日本の分譲マンションが、なぜ平均40年未満で建て替えられているか、その大きな理由は、建築当時、SI住宅の発想がなかったため、ライフスタイルに合わなくなったマンションを、適応させる術がないことである。

HTAは、SI住宅の方向性にあり、今後の動向が注目される。

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