プロの法務局調査のやり方

評価依頼のあった物件で、依頼を受けたときは2筆のはずだったけど、字図で隣接地番を調べ、住宅地図も照合しながら、要約書を取っていくと5筆で一体所有となっていたなんて事がある。調べていくと敷地から道路対面の数筆他人地を飛んで駐車用の土地が同一所有であったこともある。住宅の敷地部分が地積が少なく狭いため、道路の反対側に対面地より離れた位置で駐車スペースとして1筆確保していたという訳だ。このような場合、当該駐車スペースを外して鑑定士が担保目的で鑑定評価し、司法書士が担保設定時に共同担保から漏らすと建物敷地部分の市場性、効用にもマイナス影響が出る。このケースなどは隣接地番をしらみつぶしに調査しても隣接から離れているのでその存在が掴めない。

このような場合、先順位抵当権などが設定されていれば、共同担保目録を閲覧すると細心な金融機関は、担保価値を毀損しないようにまとめて設定しているので、共同担保目録にこのような当該地番が記入されている確率が高いので見落とさずに済む。しかし、なんといっても人間がすることなので気づかずに設定漏れしている場合を想定しなければならない。

そこで依頼時に所有者の登記済証(権利証)の物件表示欄をコピーして貰っておくと売買などで購入した一連の物件がまとめて記載されているので、チェックすることができる。ただし数回に分けて物件を購入した場合などは、時系列で登記年月日ごとの登記済証を追っていかないと全ての物件の把握はできない。さらに究極は、固定資産税課の名寄せがあるとその所有者の所有物件は一蓮托生で課税するため、記載してある。

評価地上に登記されている建物が何棟あるか、コンピュータ化されて分かりづらくなった(この意味は深く追求しないで欲しい…(笑))。評価地上の建物は家屋番号○○番の1棟だけですと依頼者から聞いて、現地で実査してみると建物が数棟存在し、建物図面で照合し、未登記かなと思い振り分けると、実は建物登記がほかに2棟分あったりする。このようなケースを想定して、法務局で証明書、要約書を申請する段階で、「○○番土地上に登記されている建物全ての要約書(証明書)請求」と記載しておくと、高い確率で当該土地地番にある登記建物が全て把握できる。100%でないのは土地の分合筆があったり、家屋番号と土地地番が錯誤などで一致しないケースがあるからである。

次回はこのようなケースを含めての調査を紹介する。

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