傾斜地向け工法 コスト3割安

住宅設計・開発のリアースが開発した傾斜地の斜面崩壊を抑える防護壁とマンションなどの建築物を一体で建設する「擁壁一体工法」は、従来の壁と建築物を分けて施工する工法より総工費で30%コストダウンできるらしい。傾斜面をRCで覆う。斜面から基礎部分までは人口地盤で繋げ、斜面の土圧を建築物の梁と柱、壁で受け止める。従来工法では斜めに杭を打つなどして傾斜面を補強、防護壁と建築物本体の分離施工が一般的であったが一体工法としてコストダウンが可能になった。

いわば、建築物の総重量と応力で崩れやすい斜面の安定を保つ。周囲の景観に配慮し、表面はPC板の上にコケを這わせた薄い溶岩を敷き詰め、自然の味を醸し出し、傾斜面の保水効果も高めている。

同工法で建築した第一号集合住宅がJR東海道本線湯河原徒歩15分、伊豆、箱根、富士山の四季が楽しめ、南側が崖面となっている「水明荘」である。敷地面積2,741.36㎡、地下2階地上4階建、総戸数20戸、専有面積は145㎡の大型2LDKで最多販売価格帯4,300万円となっている。

住宅評論家の佐藤美紀夫氏は「構造躯体(くたい)の仕様レベルがきわめて高い。床スラブのコンクリートは厚さ33センチで(通常は20センチが普通)、かつ二重床二重天井。外壁のコンクリートは厚さ45センチで厚さ25ミリの断熱材入りの二重壁で防音性能が高い。2階床から人工地盤を張り出して地盤下には1戸2台分(合計40台)の駐車場を設置、地盤上には竹林を植えた。(中略)水明荘の商品企画は近郊の都市型ファミリーマンションとしても十分通用する。リゾートと単純に区分できないと述べた理由もここにある。あとはユーザーがこの設計コンセプトをどう評価するかにかかつている。」と絶賛している。

2000年5月に高度先進心臓病治療センターとして神奈川県葉山町に開院した「葉山ハートセンター」は、60床の病室がすべて相模湾に向かい富士山を望むロケーションを生かしており、リアースの井出氏は2000年度グッドデザイン賞を獲得している(日経産業新聞03.06.06)。

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