公図に登記地番がない土地(地図混乱地域)

福岡市博多区○○某番土地は公図に記載がなかった。周辺地番も複数欠落していた。法務局によると過去何らかの事情で公図に記入がされなかった地図混乱地域に該当するとの返事であった。この場合地図訂正申請により公図に記入可能となるが本件のように周辺地番も欠落している場合は見通しがたたない。公図に記載がない土地は位置、筆界も不明で取引も困難となる。

地図混乱地域とは、一定の地域で広範に法務局の字図と現地の位置及び形状等が著しく相違して、現状では筆界を確認する術がないことである。地図の混乱の主な原因として下記のようなものがある。

  • 地震、火山の噴火、河川の氾濫で現地の地形が変化し、境界が不明となった後、登記手続が放置されおり、地権者が任意に占有している状態での公図と現況の相違
  • 区画整理事業、土地改良等が中断し、登記処理も放置され、その結果生じた現地の変化に公図が合わなくなった
  • 宅地造成などで分・合筆が頻繁に繰り返され、登記処理が正確さを欠き、公図と現地が相違した

法務局は従来、旧土地台帳付属地図の再製、国土調査による地籍図の修正、地図混乱地域における基準点設置、モデル作業としての法17条地図の作成を行なっていた。法務局の作業量が膨大なため、問題のある部分を局所的に対処していた。平成元年民事局長通知でこれらの地図整備事業を体系的に整備し、将来の地図のコンピュータ処理も導入する方針を策定した。コンピュータ処理導入には、国家基準点に基く座標値によつて各筆界点を表示する数値地図を備え付けるとし、この座標値をコンピュータで管理する予定である。これが実現すると登記情報、地積測量図、建物図面などの情報とリンクさせ登記所版GISが構築されることになる。そのときは公図や建物配置図などの情報がゼンリン住宅地図をみるようにみれるかもしれない。これらが実現すると冒頭で述べたような混乱もなくなり、対象地の確定が容易になる。

さらに平成15年政府に「都市再生本部」が設置され、全国の都市部における早急な地籍整備を打ち出した。地積整備地域を、①公図と現地の境界が概ね一致、②一定程度一致、③大きく異なる地域と分類した。②③については法務省を中心に作業が進むことになる。

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