不整形地の価格
複雑な地形の土地を不整形地と定義する。地形が不整形によることで生じる減価率については国土庁土地局の土地価格比準表の手引きでは、近隣地域の標準的使用画地の形状と異なり、それだけ利用効率が低くなる事による減価であるが、地域によっては建物の建築方法等で軽減されることもあるのでこれらの地域の実態および画地面積等を考慮して有効利用度等を判定して行うとしており、土地価格比準表で対象地の用途別にマトリックスの表にきめ細かく減価率をつけている。
相続税評価通達では、整形地の形状に似た近似整形地を想定し、これとの不整形の度合いにより一定の係数を乗じて減価率を算定している。
ただ土地価格比準表や相続税評価通達は、画一的で物件個々の状況を正確に反映しない。そこでさらに鑑定評価では下記のような手法を使う。
不整形地の価格を求めるには、対象地の存する近隣地域の標準的な土地建物の利用形態をまず想定してみる。そして標準的な利用形態が、その不整形状でどの程度の支障、阻害を受けるかで減価率が決定される。
例えば近隣地域の標準的土地建物の利用形態のモデルを250㎡の土地に130㎡程度の2階建専用住宅が建っており、車1台分のカースペースがあり、当該建物の南側隣地までの間隔が7m程度と想定する。不整形地に同規模の建物が建築可能か、可能としても地形の制約から間取り等の選択肢が限られたり、快適性が損なわれたりしないか、カースペースは確保できるか、南側の日照スペースは確保できるかなど、想定した標準的土地建物の利用モデルから利用阻害があればその程度を査定し、標準的利用形態地の価格から減価して不整形地の価格は決定される。
マンションが多い中高層集合住宅地域であれば、マンション利用を想定し、日照や法規制を考慮しながら建物や駐車場部分の配置図を書いてみる。マンション地の場合、不整形であっても利用阻害が少ないケースが多い。利用阻害部分が駐車スペースとして使えたり、容積率で建築可能なボリュームに寄与するという側面もあるからだ。
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