最近の屋外広告看板の料金動向
ビルの屋上や壁面に設ける屋外広告料金の底入れ感が強まっている(日経産業紙)。オフィスビルの賃料は、東京都心を中心に全国の政令都市などでも堅調になってきているが、屋外広告料金にも波及してきたようだ。景気が回復し、都心のマンションの売れ行きが好調なため、広告需要が回復したことがその原因らしい。
屋外広告がビジネスとして成立するには、スポンサー企業の広告需要が高いロケーションでなければならない。立地のポイントは、屋外広告が認識される頻度と視認性の高さである。そのためにはターゲット層の通勤、通学や買い物などでの通行が大量に発生するTG(トラフィック・ジェネレーター)と呼ばれる駅、大通り沿いである必要がある。当該ビルやマンションが、TGから見て視界性が良好であったり、通行が滞留する交差点周辺ならさらにプラスとなる。例えば、東京都内で屋外広告のホットスポットといえるのは、銀座、六本木、渋谷、新宿などが挙げられるが、今年になって渋谷、新宿では2割程度料金が上昇したケースもある。
オフィスビルや1棟マンションなどの鑑定評価で、賃料に比べ意外に知られていないのが屋外広告料金の相場や料金システムである。看板料は、通行量、看板の大きさ、周りの看板と比較した目立ち具合で決まり、個別格差が大きく、料金も変動する。看板を支える支柱設置コストを負担するのは、ビルオーナーのケースと広告主のケースの2通りがある。
日経産業紙によると、渋谷、新宿駅前で目立つ場所ならスポンサー向け広告料金は、100㎡(8m×12.5m)当たり年間700~1,300万円。契約期間は、2年、3~5年更新が多いそうだ。
ビルオーナーと広告主間を仲介するのは広告代理店が主流で、屋外広告に表示される内容は、企業や商品イメージの訴求をメインとするものから、広告主の店舗などへ導入する機能を持ったもの等がある。
インターネット市場の広告費が10年間で60倍増えたように、企業もインターネットを絡めたクロスメディア広告戦略を打ち出し、費用対効果から広告媒体の選別を進めており、屋外広告は分が悪いようだが、この先、消費の回復で地位回復に結びつくのか先行きはまだ不透明だ。
広告主の傾向は、資金規制法の関係で消費者金融が減少した反面、不動産会社のマンション広告や輸入車や国産高級車などの自動車関連広告が増えており、企業の浮き沈み、世情を映す鏡となっている。
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