超高層マンションを支える超高強度コンクリート技術

東急東横線「武蔵小杉」駅周辺では高さ100m超の超高層マンションの建設が進行している。なかでも建築技術者が注目しているマンションが三井不動産等3社のパークシティ武蔵小杉(59階建)と伊藤忠都市開発等3社のザ・コスギ・タワー(49階建)だ。

業界初となる圧縮強度が1平方ミリメートル当たり150ニュートンの超高強度コンクリートを1階の柱に使っている。高強度とされる60ニュートンの約2倍に当たる。パークシティ武蔵小杉を施工する竹中工務店は、階数で日本一となる地上59階建て、高さ203.5mの建物1階部分の柱60本のうち8本に150ニュートンのコンクリートを採用した。150ニュートンのコンクリート自体は、数年前に開発され、これを当該マンションで初めて採用した。

超高層オフィスビルはS造が主流でRC造は少ないが、マンションは遮音性や強風、地震時の揺れの関係でRC造が多い。マンションは、柱のサイズを小さくすることで居住空間が広くなり居住性が高まるので高強度コンクリートを使うメリットがあるのだが、日経ア-キテクチュア桑原豊氏の日経産業誌の記事によると「60ニュートンなら1.6m角、100ニュートンなら1.2m角になる柱を150ニュートンなら1m角にまで抑えることができる。」

さらに竹中工務店は、ポリプロピレンなどの合成繊維を混入して耐火性能を高めるとともに、鋼繊維を混入することで高い曲げ強度や粘り強さを確保した。

コンクリートの強度を高めると固まる前の生コン状態での流動性が低下するという施工面での難点があるが、ガラス質二酸化ケイ素の超微粒子を混入した超高強度コンクリート用のセメントや、化学混和剤を使いコンクリートの流動性を高めた。

ザ・コスギ・タワーを施工する大成建設も独自に開発した同強度のコンクリートを使っており、竹中も大成の両社ともすでに200ニュートンまでの超高強度コンクリートの製造技術を確立済みという。

いずれにせよ超高層マンションのコンクリート強度は一気に数値アップした。耐震強度偽造以降、世間のマンションの構造強度への関心が高まっており注目を集めている。

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