次世代インターネット基礎技術 / JXTA、SIONet

PtoPはすでにナップスターやグヌーテラが有名だが著作権侵害など訴訟のゴタゴタがあり非合法という影の部分がこれまであった。しかしここにきて、米Sun Microsystems、NTT未来ねっと研究所のグループが著作権など問題がある情報の流通をブロックし、機能的にもさらに進化した革新的ソフトを相次ぎ発表した。TCP/IPがインターネットを急速に普及させたようにJXTAの普及によりコンピュータネットワークの通信方法を根底から革新するこのプロトコルは将来の不動産流通の配信形態も大きく変える潜在力を持つ。

■JXTA

米Sun Microsystemsはネットワ-クの通信方法を変えてしまう革新的ソフトウェアを発表した。4月25日、同社のサイトでPtoPの基本機能を共通化し、PtoPアプリケーション共通基盤確立を目標とするプロジェクト「JXTA」の全容を明らかにした。サンは、米ナップスターやグヌーテラなどで有名になったピアツーピア方式プログラムの中心的な存在として、JXTAを開発している。

ナップスターやグヌーテラは独自技術で作られているため異なるPtoPアプリケーションの間でコンピュータのリソースを共有したり、情報交換することが困難であるが、JXTAはPtoPアプリケーション間の機能を共通化したものをフリーソフトとして提供する。JxtaはPtoPアプリケーションに対して標準インターフェイスを提供し、インターネット全域に散在するリソースに前提知識なしにアクセスし、利用するための基本的な枠組みを提供する。

サンはJXTAバージョン1の仕様とソースコードを公開し、JXTAの基本的設計思想を明らかにした。JXTAでは、JXTAプロトコルを実装したマシンのピアとピアをグループ化したピアグループがありそれぞれPtoPサービスが可能となっている。JXTAにはインターネット上にあるパソコンや携帯電話などのコンピュータ機器を接続し、1つの機器から別の機器へ「パイプ」とよぶ通信路を使い情報を交換させる機能や、攻撃に対抗するセキュリティー機能、ピア集団のグループを形成、発見、またグループに参加・脱退するための仕組み、サービスの状態を監視する機能などがある。ピアグループが提供するサービスはグループ内の複数のピア上で動作させるため負荷分散や冗長性を確保できる。

サンはJXTAコアとシェルのソースコードを無償で公開し、同ソフトウェアを改良してインタ-ネットを形成する標準にするための支援を開発者に呼びかけるオープンソース方式でJXTAの機能強化と普及を図っていく方針だ。

JXTAの利用としては生成し消滅する動的WEBサイトに対応したリアルタイム検索やナップスターやグヌーテラに相当するアプリケーションの構築などが想像される。JXTAが実装するセキュリティ機能などを活用することで、企業がビジネス目的で利用可能な、信頼できる安全なサービスを実現できると思われる。

国内でもJXTAと同等の機能を有するPtoPアプリケーションがNTTによって開発された。JXTAの課題としてリソースを検索するためのディレクトリの仕組みが不十分なことがあげられJXTAバージョン1ではブロードキャスト通信による検索機能と集中型ディレクトリにアクセスする機能を有するだけであるがNTTにより開発されたSIONetは分散型ディレクトリを効率的に実装する。

■SIONet

NTT未来ねっと研究所のグループがサーバーを介さずに直接ユーザー端末間で情報をやりとりする次世代インターネット基礎技術を開発した。日経産業新聞によると「新技術は音楽や画像、文字などあらゆる情報を扱えるうえ著作権などで問題がある情報の流通を防ぎ、しかもネットワークにかける負荷が少ない。技術的にはすでに実用レベルに達しており、今後はどのようなビジネスとして展開するかを検討する。」

SIONetはナップスターやグヌーテラを超える画期的システムである。ナップスターは音楽情報などのコンテンツと通信手順などのプログラムが一体化して他の情報をやりとりできないがSIONetはコンテンツ部分と通信プログラムが分離されているのでコンテンツ会社やユーザーが自由に各種情報を交換できる。またグヌーテラは欲しい情報を探すため多数のユーザー端末に対し検索データを送信するのでネットワークに負担をかける。SIONetはネットワークの各所に欲しいデータをもつユーザー端末のあり場所を示すポイントを設け流れる情報量を抑制しネットワークに負担がかからないようにしている。

またSIONetでは、意味情報を見ながら情報の転送先、転送経路を決定。また、イベントプレースと呼ばれる論理的なネットワークを構築し、情報の転送をイベントプレース内に限定することが可能で、これにより、個人情報を保護しつつ、限られたコミュニティ内での情報交換を可能としている。イベントプレース間でも情報の転送は可能だがその際に意味情報をチェックすることにより、不正な情報の授受を防ぐことが可能となる。著作権の対象となる可能性がある情報の流通やユーザー端末のデータのプライバシー保護が配慮されている。

NTTはSIONetをJXTA対応にすることも選択肢としてあるとしておりここにきて次世代インターネット技術の輪郭が明らかになってきた。

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