インターネットデータセンター(IDC)最近の動向

01年1月「IT基本法」が施行、4月には「電子署名法」が施行予定である。ネットワークインフラの整備と周辺法の施行で電子商取引は本格的に普及していく。ネットワーク技術は急速に進化し細分化しているため企業内でハードや要員をストック、維持するのは困難であり膨大なコストがかかる状況となっている。反面、電子商取引では回線障害、ハードの障害は企業に致命的損害をあたえる。

企業が最先端のネットワーク環境を利用するにはこれらのリスクと膨大なコストを常に負担しなければならない。この企業の悩みを解決してくれるのが一昨年から相次ぎ登場してきたインターネットデータセンター(IDC)である。

1、インターネットデータセンターが提供するサービス

IDCとはインターネット・ビジネスを展開するユーザーのハードウェア、ソフトウェアを事業者が預かり、バックボーンネットワークへの接続やサーバーの運用管理などを代行するサービスである。

IDCが提供する主要なサービスは下記のようになる。

  1. サーバーのホステイング、ハウジング
  2. IDCの基本的サービスは、企業がIDC施設内の場所を借りてそこに自分のサーバを設置稼動するハウジング、あるいはIDCが貸し出したサーバを設置稼動するホスティングである。複数のCPUを登載しCPUがおちたときも残りのCPUで処理が続行可能で、バックアップサーバーも準備されている。特に電源に対する対策は慎重になされている。通常の電力では、膨大な数のサーバを稼動させることができないため給電システムが強化されている。IDCでは工場などに使われる特高受電を利用しているケースも多い。また電源も2系統用意するなど細かい配慮がなされ、停電時の無停電電源装置によるバックアップや、非常用自家発電設備による給電が可能となっている。サーバーマシンの発する熱を逃がすための空調設備も備っている。

  3. 物理的安全性、不正侵入など電子的セキュリティの確保
  4. 物理的被害に対しては免震耐震構造で耐火性も高めた建築構造を採用し、サーバースペースの床は収容機器が相当の重量になるため耐荷重を高め、特殊ガス消火装置などを備えている。人の入出場についても入退室をチェックする設備などで徹底管理している。通常、サーバースペースの入口にはICカードや指紋を使った認証機器、内部には警備員や監視カメラを設置している。不正侵入などのセキュリティ対策は回線に流れる膨大なパケットを常時監視し、不審な兆候を過去の不正侵入事例解析で得たパターンデータと照合し未然に発見する。ネットワーク管理者の迅速な対応を可能にしている。

  5. 高速、高品質回線の提供
  6. IDCは通信回線がダウンしたときに備え複数系統の通信回線を準備しており、トラフィック急増のケースを想定し回線設備全体に余裕をもたせているので8秒ルールなどのアクセス保証となっている。

  7. 最新技術の導入、柔軟なシステム拡張などが可能
  8. ECサイトは、ユーザーのアクセス数が予測困難なため状況に応じてハードウェアリソースを見直し、再構築できるという拡張性が求められる。アウトソースのインフラであるIDCはハードウェアのグレードをアップすることも可能となり柔軟に対応できる。また新技術への移行もIDCを利用すれば社内教育も不要なためスムースに実現可能となる。

2、今後のインターネットデータセンター

4月施行の「電子署名法」により情報の発信者と正当な受信者間の情報のやりとりが保護されるが民間認証局を視野に入れECのインフラを統合的に提供可能な体制を準備をしているIDCも多い。単なる場所が貸しのホスティングサービスからハウジングサービスや監視、セキュリティサービスさらにはハードウェア、OS、ソフトウェアを検証し、用意、システム構築、EC関連の回線接続からサーバ運用にいたるトータルサービスまでユーザーが要求するレベルになっている。ASPを含めたアプリケーション開発・運用まで、すべてのIDCサービスを企業のeビジネスソリューションとしてトータルに提供していく動向もある。ITのアウトソーシングの比重が増加していくためASPと連携したIDCの活用はさらに進行していくと思われる。

■関連記事
  インターネットデータセンター
      

おすすめ記事