インターネットデータセンター(IDC)

Webサイトを使ったビジネスを展開する企業が増加するに従いWebサイトの質が問われるようになった。Webサイトの停止は企業の収益減、信用低下をもたらす。冗長性や拡張性を重視して障害に強いシステムを構築してもそれを生かす運用がなければならない。そのためには強固なインフラが求められるがIDCの利用で殆んど解決する。

IDCとはインターネット・ビジネスを展開するユーザーのサーバーを事業者が預かり、バックボーンネットワークへの接続やサーバーの運用管理などを代行するサービスである。ISPはこれまでもハウジングサービスの形でスペース提供やネットワーク接続を行ってきたが、IDCはパケット・ロスやレイテンシを保証し、契約されたスループットの提供を保証する。それに加えて運用面のサービスを強化しているのが大きな特徴だ。

部外者に対する厳しい入室制限、建物の耐震性や消化設備、空調など設備面は勿論、データセンターからインターネットへは異なるプロパイダーを使い、別々の回線で接続することにより2重化し各回線は建物の異なる方向からセンタ内に引き込みケーブルを物理的に攻撃されても切れないようにし、電源も同様に2系統用意するなど細かい配慮がなされているセンターが多く、セキュリティ面でも信頼性が高い。

ECサイトは現在、大規模サイトと個人事業者規模の小規模サイトに二極化しており、大規模サイトを支援するインフラとしてIDCに対する需要が増加している。日本では昨年の後半から本格的にビジネスが立ち上がっており国内企業の参入や海外企業の上陸が相次いでいる。

IDC活用の最大のメリットは、サーバを安全に運用するための環境や設備、運用などをアウトソースできる点にある。インターネットビジネスを展開するにはインターネットサーバを常に安定した状態で稼動させなければならないが、一般企業がそのための環境を実現するのは技術者の確保、費用面で難しい。しかしIDCを利用すれば比較的簡単にこのような環境を手に入れることができる。中にはユーザー企業が使用するサーバのレンタルサービスも一緒に提供する事業者もある。

IDCの料金は、インターネットへの接続料金、サーバー設置スペースのレンタル料金、システム運用料金の3つの部分から構成される。このうちインターネットへの接続料金は、大きく定額制と従量制に分かれる。定額制は契約時に決めた帯域に従って課金する方法であり、実際にどれだけの通信料があったかに関わらず、契約帯域で決まった一定額の料金を課金する。従量制はトラフィック量に応じて料金を課金する方法。これは予算を見積もるのは難しいが、トラフィックが変動してもスループットが低下しにくい。BtoC-ECのサイトなどのようにピーク時のトラフィックを予想しにくい場合に向いている。この他に、定額制と従量制を組み合わせた料金体系を用意している事業者もある。

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