法務局のインターネット登記情報サービス
■法務局のインターネット登記情報サービス
2000年9月25日より法務局のインターネット登記情報サービスの提供が開始する。法務局と密接な関わりを持つ不動産関係業者は、インターネットの導入に慌ただしく対応を進めている。いままで遅れていると言われた不動産関係業者もIT化を余儀なくされるわけだ。本サービスの対象となる登記の種類は、不動産登記、商業登記、その他政令で定める登記(電気通信回線による登記情報の提供に関する法律 平成11年法律第226号)である。
具体的に提供される登記情報の種類には、コンピュータ化された登記簿に記録されている事項の全部についての情報(全部情報)と、当該登記簿に記録されている事項の一部についての情報(一部情報)の2つがある。一部情報の具体的な内容は、①不動産登記簿に記録された等事項のうち、共同担保目録に記録された事項を除いた情報②一個の不動産の所有者の住所及び氏名のみについての情報(所有者事項)等があるが、ただし、一定量以上の情報量の登記簿等については、本サービスの対象から除外される。一定量以上の情報量の登記簿とは、甲区及び乙区に記録されている登記の数(仮登記の余白を含む)が200を超えるもの又は請求にかかる情報量が100キロバイトを超えるもの等である。
本サービスの利用にあたっては、あらかじめ(財)民亊法務協会との間で情報提供契約を締結し、利用者識別番号(ID)及びパスワードの交付を受ける必要がある。
■Q&A(月刊登記研究抜粋)
Q:提供されない登記情報にはどのようなものがあるか?
A:地図(公図を含む)、地積測量図、建物図面等の図面関係の情報は、現状では提供の対象外となっている。また、提供対象となっている不動産登記情報のうち、登記事項数が200を超える登記情報及び提供対象のデータ量が100キロバイトを超える登記情報(文字換算で概ね50,000文字程度)は、システム上提供されない。
Q:表示される登記情報はいつ時点の情報か?
A:画面上に表示される登記情報は、利用者が請求した時点の登記情報である。請求された物件(会社)がその時点で登記手続中の場合は、その旨のメッセージが画面に表示され、登記情報は、既登記部分を含めて表示されない(登記所の窓口で証明書や要約書の申請する場合と同様の扱いとなり、利用料金はかからない)。
Q:どこの登記所のデータでも確認可能か?
A:提供対象庁の登記情報であれば、全国の情報がインターネットを介してどこからでも請求することができるが、不動産の登記情報のみが対象となっている庁もある
Q:表示した登記情報を印刷したものに法的な証明力はあるか?
A:提供される登記情報を印刷出力しても、その書面には登記官の認証文が付されないため、登記簿謄本や登記事項証明書と同様の証明力はない。提供する情報の改ざんができないことから、印字されたものは正確な情報であるが、証明力としては、利用者が登記所で閲覧を行い、登記事項の全部をメモしたものと同程度と考えられる。
Q:所有者名から土地・建物の検索はできるか?
A:名寄せ機能はないので、所有者名から土地・建物を検索することはできない。住居表示番号からも該当する土地・建物を検索することはできないので、あらかじめ、登記済証や従前に作成された登記簿謄本、登記事項証明書及び公図などで、地番を確認して請求する必要がある。所在(大学等)を指定して地番や家屋番号の一覧を表示することは可能である(一度に10筆個までで利用料金はかからない)が、所有者名や住居表示番号を確認することはできない。商業・法人登記については、会社(法人)名の一部分から検索することが可能である。
Q:表示される情報はデータとして保存できるか?
A:利用者が請求した登記情報を画面上に表示し、表示された登記情報を印字することはできるが、保存するための機能はない。
■登記所版GIS
字図などについてはインターネット情報サービスの提供構想はあるが具体的時期は不明である。法務省は、平成元年民事局長通知で地図整備事業を体系的に整備し将来の地図のコンピュータ処理も導入する方針を策定した。コンピュータ処理導入には、国家基準点に基く座標値によって各筆界点を表示する数値地図を備え付けるとし、この座標値をコンピュータで管理する予定である。これが実現すると登記情報、地積測量図、建物図面などの情報とリンクさせ登記所版GISが構築されることになる。
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