ミニバブルの去った後には

年末を迎え、思い起こせば1年前の師走、サブプライムの底しれぬ闇の深さに身がすくみながらも、年が明けてからここまで短期間での景気悪化や株価・地価急落の悪夢を予想できなかった。都市と地域は限定されるが、投資マネーで沸騰した不動産価格の高騰、市場の過熱に対して先のバブルの記憶から多くの警鐘が鳴らされていたが、業界関係者の多くは、「収益還元の合理的な利回りで算出された不動産価格に熟しすぎた果実のようなバブルの腐臭はしない。」といっていた。

しかし、合理的とされた利回りは過度に楽観的で投機的な思惑をもっともらしく偽装する空虚な符号に過ぎなかったし、サブプライムの証券化商品のリスクを過小評価していた格付けへの不信感も高まっている。ハイレバレッジの投資銀行モデルを支えた金融工学はまやかしだったという批判も多い。いつの世も結果論が過剰で短絡的な魔女狩りに走ってしまうのは変わりがないようだ。

しかし、先のバブル崩壊を経験した市場関係者のなかには、サブプライム以前から不動産市場の過熱を警戒しながら冷徹に市場を眺めていた者がいたことも事実である。これも繰り返される人間の愚かさへの反省からであるが。その不安は的中し、バブルはあっけなく崩壊した。業界のなかにはサブプライムローン問題というグローバル規模の金融収縮が、いわば交通事故のように市場を直撃し悪化させたので、不動産のキャッシュフローを支えるファンダメンタルズは揺いでいないからバブルに行き着く前に市場がおかしくなったという見方もある。

いずれにせよ世界的金融収縮が日本国内から世界規模での経済減速を引き起こし、不動産のファンダメンタルズも坂道を転げ落ちていくように悪くなっている。現実にはバブルで崩壊したのと変わらない風景が広がっているのだ。象徴的なのが、無敵艦隊トヨタをはじめとする国内巨大企業の業績の惨状と、そこに働く派遣労働者が次々と解雇され、飽食と賃貸住宅の供給過剰の時代というのに会社の寮を追い出され明日のパンの不安から職を求めて街中をさまよう姿だ。

バブルが去ったいま、米国内から市場原理主義の批判が一斉に湧き上がり、「CHANGE」を掲げるオバマが大統領に選ばれた。オバマが指名した経済チーム、財務長官に前NY連銀のガイトナー、国家経済会議委員長サマーズを据えた強力布陣への期待感は高い。年明けの大統領就任後から新大統領は、金融政策が出し尽くされたこのタイミングで思い切った財政政策を打ち出してくることが予想される。

一方、日本国内だが、総理をはじめ政治的布陣への期待感は相変わらず??だが、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池、太陽光発電など環境エネルギーを中心に国内製造業の先端技術への評価は世界的に高い。サブプライムの教訓から米国への過度な依存を止めてアジア経済圏のリーダーへの1歩を踏み出すだろう。

暗い世相と不況風が吹く年末だが、来年はどのような風が吹くのだろうか。

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