平屋住宅が人気だ!
平屋住宅の人気が高まってきている。団塊世代では特に人気が高いそうだ。住環境研究所の調査では「老後の理想の住宅」として平屋を希望する人は42%に上ったらしい。平屋が支持される理由としては、階段を上り下りすることがなく、介護面でもバリヤフリーにしやすい高齢者に優しい住まいという理由もそうだが、階段やそのための廊下を余分に取ることがなく、効率的な間取りを実現できるという面もある。2階の荷重がなく耐震性にも優れている。
平屋住宅を建てるには、それなりの敷地の広さが必要となるため、地価が高い都市部では贅沢な住まいでもある。筆者もリタイヤしたら海が見える丘のうえに南欧のリゾート風の平屋住宅を建て、美しく可憐な花園に囲まれてスローライフを楽しみたいという願望を持ち続けている。
退職を迎える団塊世代を主なターゲットとしてハウスメーカー各社は、平屋専用のプランを充実させている。住友林業は、今年2月「マイフォレスト グランドライフ」を発売した。寄棟や片流れの屋根に広い開口部の外観は、なかなか洒落た雰囲気を醸し出している。子供が独立し、夫婦二人での生活という設定で、自分らしさを大切にしたいと考える団塊世代のライフスタイルに合わせて、ほどよい広さのシンプルな暮らし方を提案している。「プラスキップ」とよぶ床の高さをずらした空間を設け、平屋とはいえ立体的な空間構成を実現した。たとえば屋根裏空間をギャラリーや書庫にしたりして多様な生活スタイルに対応できるようにした。次世代エネルギー基準に対応し、3.3㎡当たり価格を53万円~としている。
積水化学は、06年11月平屋建て専用の「グランツーユー・スイートワンストーリーハウス」をグランツーユーシリーズに追加した。三角形の切妻屋根のタイプや白色の外装材を使った洋風タイプでアクセントをつけ外観を工夫している。平屋住宅のメリット(最大の段差である階段がない等のメリット)をさらに強化し、エイジレス設備の標準化 、車椅子動線シミュレーションの提案など高齢者に優しい配慮したり、地震に対する不安を解消するために地盤の強さ・建物の耐震性の「見える化」ができる耐震診断システム「ユレナビ」を導入し、日常生活の安心を高めている。平屋の場合、外気に接する床や屋根の面積が大きいため断熱性能が劣るのだが、断熱性能は北海道に要求される次世代省エネ基準を達成し、室内の空気の質をコントロールする「空気工房」の採用により、高齢者の暮らしに欠かせない快適で健康な住まいを実現した。
各社の平屋住宅は、子供が独立し、夫婦2人だけになった団塊世代にやがて迎えるであろう高齢化による健康不安を、階段レスやバリヤフリー化で安心を提供するだけでなく、老後の多様なライフスタイルを満喫できるステージとして住まいの提案をしている。これまでの平屋住宅の外観が与えてきた公共住宅型の画一的なイメージは払拭されている。
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