不動産流通業の戦略的EC活用法

不動産流通業やハウスメーカーにとってインターネットによる成約率は飛躍的に向上しており、業者は益々、営業の比重をインターネットに傾斜させていくだろう。今回はアクセスを増加させるサイトの構築、営業戦略につき論及してみよう。アクセスを増加させるためのサイトへのリピーター(サイトへの再訪問者)の確保については以前のコラムで触れたので今回はこの手法については省略する。

1、サイト訪問ユーザーからの問い合わせ対応形態の整備

ユーザーからの問合せには、管理担当者の集中管理体制を整備し、そこで顧客単位に振り分ける。つまり一人のユーザーが複数物件を問合せてくる場合、物件の担当店舗が違うと、ユーザーに複数営業マンからメールなどがはいってしまう可能性があるためユーザーの問合せをユーザー単位で管理し、担当店舗や担当者に連携させる。

システム運用面では管理担当者ではユーザーの問い合わせ内容やユーザーの見込み度感触などの把握が弱い。反面、営業マンは、目先の成約に追われ、ユーザーとの距離を維持しながら交渉を進めるというユーザー側のメリットがなくなるため営業と管理担当者の連携で運用する。

または、ユーザーからの問合せにユーザーに近い担当店の営業マンが即時レスポンスを返し、サイトも担当店で立ち上げる形態もある。この場合、本社の人員の介在による時間ロスをなくすという意図があり、ユーザーの問い合わせに対し担当者からメールなどをいれる。ユーザーは複数のサイトを見て検討する傾向があるため、まずはクイックレスポンスということだ。

2、営業戦略

営業戦略としては、メールを最初のステップとし、まず接点を持って、そこから何度かコンタクトしながら電話、面談というプロセスへ進むことが重要である。住宅展示場でアンケートと称する用紙に名前と住所を書いたばかりに当夜訪問を受けた恐怖経験(?)を持つ営業アレルギー者は結構多い。メールによるある段階までの交渉は、現在のユーザー(30代中心)の購入スタイルにあっているとも言える。

3、アクセスを増やすホームページの構成、コンテンツ

  • トップページのレイアウト、デザインを最重要視して構成する。トップページの出来がイマイチだとページの内容が充実していても立ち去る可能性が高い
  • リンク構造の検討。リンク構造の出来が悪いとユーザーがサイトの深い階層のページにアクセスしているとき自分がそのサイトのどこにいるか解らなくなる。ユーザーがどこにいるか把握できる明確なリンク階層構造を構築する
  • ユーザーのアクセス経路を予め想定して構成する。例えばトップページに物件情報とECページがありユーザーが物件情報のページにアクセスし希望物件を検索した場合、当該物件を返すページとの繋がりが悪いと不快感を持つなど
  • 重い画像など応答速度に悪影響を及ぼすものは避ける
  • 基本的には良い物件を揃える
  • 大半の物件表示はテーブル構造になっており、ビジュアル性に創意工夫が必要。もっと使いやすく、もっと詳しくをコンセプトにインターネットで眼が肥えているユーザーを満足させるホームページを作る
  • 多様な顧客のニーズを吸収できるホームページを作る。建物外観の基調カラー、外構の雰囲気、屋根は何色とか、床はフローリングとか二世帯対応、バリアフリーに対応など多様な情報を可能な限り提供する
  • オープンハウス、目玉商品とか、新着の情報などの継続的情報提供

4、ホームページへのアクセスログの解析

ユーザーのサイトへのアクセス履歴はアクセスログで解析できる。HTML等のファイルごとにアクセスしたユーザーのドメイン名、時刻が解る。ECサイトの場合、トップページにアクセスしたユーザーのなかで商品購入をしたユーザーの数も把握できる。ユーザー登録の際、フォーム画面入力状況監視ツールもある。特定項目のところで入力をやめるユーザーが多いときはその項目を外し回収率を高めることができる。アクセスログ解析でユーザーの傾向を探知しホームページを軌道修正することによりサイトのアクセス数を増やし、効率的営業が可能となる。

■関連記事
  不動産流通の重要課題
      

おすすめ記事