大規模小売店舗立地法(大店立地法)施行による 不動産市場への影響
本年6月1日、従来の大規模小売店舗法(大店法)に代わる法律で、大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行された。
これまで大店法は大型店の出店を店舗面積、営業時間など経済面から規制してきた。従来の大規模小売店舗法(以下「大店法」)が、中小小売業者の事業機会を確保することを目的とした経済的規制であったのに対し、大店立地法は大型店の出店とその周辺地域の調和を図っていくための手続を決めている。
大店立地法は面積などの是非を協議する経済調整をやめ、出店に伴う交通混雑、騒音などの周辺環境から商業施設のあり方を規制・調整する。
新法施行に伴い、国は、対象となる1,000平米を超える大型店に関し、駐車場の台数、騒音対策、廃棄物処理などについて数値基準を定めている。
法律の運用主体は都道府県および政令都市にゆだねられる。地域の裁量が主軸となり、自治体独自の条例や要綱にも多岐にわたる影響や対応が必要となるなど、地域コミュニティとの関わりが一層重要となる。
立地法の施行に伴い小売店舗のあり方を独自の基準や仕組みで調整していこうという動きは、京都市、横浜市、杉並区などで見受けられるもののまだ少ない。だが、各都市が商業施設をどう位置付けていくかは、街の将来の骨格に関わる根源的問題である。多方面で大店立地法を基に対策や対応の具体的検討に入り始めている。
▼不動産市場における大店立地法の影響
- 1,000㎡超を大規模小売店舗として対象とする大店立地法が施行されることにより、従来に比べ店舗付近の交通渋滞やゴミ問題などさまざまな環境基準が設けられているため店舗の出店コストが増加する傾向にあることから、出店を前倒しにし出店が加速する
- 企業の出店戦略を一部軌道修正し中心市街地の活性化事業へ参与しようとする傾向もでる
- 運用法が明確化する2年間程度、大店立地法の対象外となる店舗面積1,000㎡未満(敷地面積2,000~3,000㎡程度)の規模での出店が増加すると予測されるため住宅地周辺の該当規模土地取引が増加する
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