ITで稼ぐコイン駐車場

最近、よく見かけるのがコイン駐車場だ。目抜き場所というより、表街区の1本裏の通りなどに設置してある。10台かそこらのキャパシティの小さな土地に適している。このシステムは、不動産管理会社がオーナーから土地を借り上げ、比較的簡単な機械を導入して運営しているケースも多い。

今までは市街地の場合、 立体駐車場が幅を利かせていた。手軽な土地有効利用としてバブル時は市街地に立体駐車場が林立したものであるが、バブル崩壊、地価下落の影響を受け91年に年間14万台を超えていた市場規模は99年には約10万台に縮小した。

ゼネコンへの需要が減ったのが最大要因と指摘されている。さらに大型車やRV車が増加傾向にあり、これらに車高規制などで設備が対応していない等の問題点もある。時間貸の立体駐車場では機械操作・誘導を行う人材 が必要なため、その手配と管理も課題だ。立駐に代わり、コイン駐車場が普及してきた背景はこの辺の事情にある。

このコイン式駐車場のパイオニアがパーク24である。近年、乱立が目立ち、競争が激化するなか 業績も好調で、ここ5年間で売上高が1.7倍、経営利益は2.8倍になった。パーク24の成長を支えているのが、駐車場の積極展開である。また成長を継続している理由は、あくなき稼働率の向上努力である。

稼働率の向上に同社はITを駆使している。全国約3,000ヵ所にある駐車場の位置をパソコンや携帯電話、一部カーナビゲーション・システムから検索できるようにした。インターネット経由で顧客に提供することで、新規開発した駐車場にドライバを誘導する。

満空車状況などをウェブ上でリアルタイムで配信、これに加えて、7月1日に発売された九州松下電器のカーナビモバイルデルNAVI「KX-GP1」のオリジナルコンテンツサービスとして配信することになった。ドライバーは、駐車場のコンテンツを取り込むことで、目的地に向かいながら、周辺の駐車場の位置や空情報を確認でき、スムーズに駐車することができる。満空車情報は、5分ごとに情報を更新する。こうした取り組みによって、01年10月期、パーク24が運営する全駐車場の平均稼働率は47.5%になった。

パーク24は無人駐車場にもかかわらず、空きがあるかどうかがほぼリアルタイムで分かるのは、駐車場にある「精算機」から利用状況を定期的に収集しているためだ。スグレモノ精算機はまるでコンビニのPOSのようだ。

「日経コンピュータ」に掲載されたそのシステムを一部紹介すると、精算機は、駐車時間だけでなく、それぞれの駐車スペースが「使用中」か「未使用」かを監視している。そして内蔵する無線通信用の端末を使って、利用状況の変化を本社の駐車場管理サーバーに5分ごとに送信する。精算機と本社の管理サーバーの間の通信には、NTTドコモのパケット方式の無線通信サービス「DoPa」を利用する。本社の駐車場管理サーバーは駐車場の精算機から受信した情報を集約した上で、情報提供用のウェブサーバーに転送する。管理サーバーは駐車場の位置情報と地図データを照らし合わせた上で、直近の空車情報を反映させたウェブページを5分ごとに自動作成する。パソコン向けウェブページには、地図にタイムズのシンボル・マークを追加した画像を作成して、駐車場の位置を示す。一方、携帯電話向けのウェブページは、空車情報と地図データを別々に表示する。駐車場の場所は地図データ上に「★」で表示し、駐車場の混雑具合は「○」、「×」、「△」の記号を使って文字で示す。携帯電話の小さい画面でも、空車情報や駐車場の場所を一目で把握できる。

さらにパーク24は、ITを活用した新たな取り組みを始めている。事前登録して会員になれば、パソコンや携帯電話から特定の駐車場を予約できるというサービスだ。今後、全国のタイムズを対象に予約サービスを展開する考えだ。

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