CMBS / 商業用不動産ローン担保証券
●CMBSとは
CMBSはCommercial Mortgage Backed Securitiesの略。日本では商業用不動産ローン担保証券とも呼ぶ。資産担保証券(ABS)の一種で、賃貸マンション、ホテル、倉庫、オフィスビル、スーパーなど商業不動産モゲージ(商業用不動産に対して実施した融資)をひとまとめにし、それを担保に証券化した商品である。具体的には、商業用不動産ローンを出し、それをプールした上で特別目的会社(SPC)に売却。SPCはそれを担保にしてAAA格付をはじめとする数種類の証券を発行して引受、投資家に販売していくスキームである。
ノンリコースローンの国内における浸透にともないCMBSの活用もはじまり、99年2月、国内初の商業不動産ローン担保証券(CMBS)が発行された。これはモルガン・スタンレーが大京からマンション1,200戸を取得した際に、外資系銀行が融資したノンリコース・ローンの元利金返済を原資に証券を発行した。
●CMBSの手法
CMBSの手法として、
- 銀行などのレンダ―がノンリコース・ローンを融資する
- 複数のノンリコース・ローンをプールすることでリスク分散を図り、その元利金を裏付けに証券を発行する
- リスクとリターンの異なる複数のトランシェに分けたデット型証券として証券化する
がある。
国内のSPC法はこのCMBSがモデルといえる。つまり、オリジネーターの倒産から証券化した不動産を隔離するためペーパカンパニーであるSPCを設立し、証券化した不動産をSPC法が所有する。CMBSではSPCに代わって資金を回収・管理するサービサーが必要となる。サービサーには賃料などの回収管理をするマスターサービサー、延滞債権の回収管理をするスペシャルサービサー、オリジネーターが倒産したときオリジネーターに代わり資金回収するバックアップサービサーがある。
●CMBSの国内普及
米国のCMBSは83年から存在する。経営破綻したS&Lが抱える不良債権処理のため設置されたRTC(整理回収信託)はCMBSの仕組みを活用した。米国では98年の発行残高約1,300億ドルに達し機関投資家を中心に市場拡大傾向にある。しかし98年のロシア危機による世界的流動性危機の際、CMBSは暴落した。
日本でもCMBSは模索段階から活用段階に移行し今後もCMBS市場は拡大すると予測されている。商業不動産は個別性が強く、商業不動産の市況も不安定でキャッシュフローの将来予測が困難であるため高度なリスク分析能力が要求される。また国内ではCMBSに必要とされるサービサーが整備されてないなどの課題がある。
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